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「り、りょうさま、りょうさま」
秀の声は甘く濡れている。
「りょうさまが、ほしいです。おしりに、良様をください」
こんないやらしいねだり方をいつ覚えたのか? 発情期がきていろいろ本を与えられたと言っていたから、そのせいか。
「いいよ、秀。秀は僕しか知らないから、しあわせだ」
まだ十歳の勃起にも秀の体は貪欲に応える。
秀に迎え入れられると柔らかく締めつけられる。調べた知識と本能で僕は秀をせめる。
「あ、あ、きもち、い……りょう、さ、まぁ」
甘えた声に興奮がます。激しく突き上げると、徐々に締めつけてくる。
ああ、気持ちがいい。秀の鎖骨に唇を這わせ、秀の昂りを秀がしてくれたように、先端から溢れる液をひろげながら小刻みに上下させる。腹の間で一層とろとろと液がたまっていく。
僕は我慢の限界が来て、秀の中を激しく抜き差しして擦り上げ、できるだけ奥を突いた。絞り上げられる感覚にめまいがして、びくびくと精を送り込んだ。
「あ、ああっ、りょ、うさま、んっ」
それに応えるように、腹に温かい迸りが送り出されてきた。
「後始末をいたしますので――良様?」
秀はすぐに起き上がったようだ。そのなめらかな体に触れる。
「一緒にシャワーを浴びよう」
「シャワーブースは狭うございますよ」
くすくす僕は笑う。
「密着できていいじゃないか」
地下牢は元は牢だが、今は秀の避難場所だ。お祖母様は水場を設置してくれたのだそうだ。洗面台、トイレ、シャワーブース。そこだけがユニットで地下牢の中で違和感があると秀が教えてくれた。
抱き合ってシャワーを浴びる。後孔に指を入れて僕が放った精を掻き出してやる。
「あ、あ……」
後始末なのに秀に欲望が兆すのがかわいい。僕は手で扱いて一気に上り詰めさせた。
「秀はかわいい」
「恥ずかしゅうございます」
きっと顔も体もピンクに染まっているだろう。
シャワーを浴びてバスタオルで拭き合う。秀は新しい浴衣に。僕の着換えは牢の格子の中に置いてあると秀が教えてくれた。自分で着換えられるのに、パンツを履くことすら秀が手伝ってくれた。正直恥ずかしさに体が熱くなった。
シーツを換えた布団に二人で抱き合って横になる。
幸せな時間だ。
何度も啄むようなキスを繰り返した。やわらかな秀の唇は温かくて気持ちがいい。ひんやりとした地下牢の空気もほてった体に心地よい。
秀の髪を撫で頬をたどる。
「秀」
「はい?」
思い切って訊ねた。
「もし妊娠したら、僕の子を産んでくれるか?」
「はい、喜んで」
間髪入れぬ答えとともに胸にすがる秀の手に力がこもった。僕は秀の頬に触れ唇の位置を確かめ、ゆっくりとキスをしてから訊ねる。
「お祖母様は第二の性の遺伝に興味があって、それで僕たち近親間の出産に興味があるのだとしても、か?」
秀の手がそっと僕の頬を撫でた。
「秀は良様の番です。早く良様のお子が欲しゅうございます」
「こんなに若くて、まだ甲斐性なしなのに不安じゃないか?」
「良様は大奥様の期待を裏切ることはございません。秀は信じております」
「ありがとう。自信が出てきた」
微笑みながら秀の額に軽くキスをした。秀の腕が僕の体を抱く。
「おやすみください」
「秀も眠れ。おやすみ」
「はい、おやすみなさいませ」
温もりを分かち合いなから、僕は秀と眠りについた。
翌朝、錠前を閉めて鍵を隠したことで、お祖母様に「いい加減におし」と小言を食らったのは言うまでもない。
――了――
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