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第二章 愛に怯える狼 7

 ねっとりとした舌が俺の口内を蹂躙する。少し息継ぎ出来たと思えばまた激しく舌を這わされて、俺の舌が動かなくてもお構いなしだ。舌ごとちゅうっと吸われ、ようやく彼の唇が俺から離れた。 「んぅ…ん……はぁっ…はぁっ…何すんだ…」 「悠矢様の為に莉玖様を仕込んでおこうかと思いまして」  仕込みって一体何だ? だけど絶対ロクな事じゃないのは分かる。如月はこんな事をしない奴だと思っていたのに。 「如月っ! 離せよっ!」 「大丈夫です、挿入はしませんから」 「そういう問題じゃねーよ! あークソッ! 離せっ!」  山田に武道を教え込んだ男なだけあって、俺の力じゃ全く敵わない。背後から抱き抱えられているが、右脚を如月の脚で抑えられていて、脚が簡単に開く格好だ。浴衣は捲れて下着は丸見え。そちらに気を取られて抵抗していると、無防備だった浴衣の襟から如月の手がスッと入り込み、俺の肌を優しくなぞっていく。 「ひぁっ…おい! やめろ! 触んな!」 「悠矢様より上手いと思いますから、力を抜いてください」  耳輪をべろりと舐めとられて、俺の身体が簡単に跳ねる。 「ンンッ…き、如月…」 「ピアス、寝る時は一つだけにしてるんですね。確かにあのままだと舐めにくい。確か耳と首が弱いんですよね。いや、全部か…」 「あっ…やめ…なめんな…お前っ! こんな事して…山田が…」 「殺されるかもしれませんね、私と莉玖様」  お前が勝手にやってきたのに、なんで俺も殺されるんだ? 理不尽にも程がある。しかし必死に抵抗しても胸の尖りを優しく摘まれると俺の身体はまた反応し、海綿体に血液が満ちて膨張していく。 「ん…ンンッ♡さ、さわんなッ…!」 「いつも声だけでしたが、実際に見るとまた違いますね。顔が真っ赤で可愛いですよ…ここは小さいのに感度抜群ですね」  彼の指先が尖りをカリカリと触る。摘んだり、撫でたり弾いたり。その指先の動きで俺の身体は簡単に捩れた。 「はぅ…♡ンッ♡あ…やめ…ンッ♡」  悶える俺に、如月はまるで観察するかの様に淡々と俺の気持ち良い所を触っていく。 「莉玖様、まだ緊張してますか? 私はそれなりに上手いので安心して下さい。舌を絡めて抱き合えば、すぐに気持ち良くなります」  俺はそんな事は心配していない。そう言おうとしてもすぐに如月の唇が近づいて否定さえ出来ない。 「やめ…ん…んぅ…ん…はぁ…はぁっ…」 「もう少し舌を出して。悠矢様の時みたいに絡めて下さい…」  ぴちゃぴちゃとした水音が鼓膜に響いて、柔らかな舌の感触と滑った唾液が絡み合う。段々と息がし辛くなってきて頭に霞がかかる。  抵抗するのに疲れてきた俺が如月の言う通りに身体を預けると、彼の胸筋の張りが直に伝わる。男なのに、男の身体の力強さに反応して、快感が一気に身体中を駆け巡る。まるで山田に抱かれてるみたいだ。  ひとしきり唇を貪られ如月の唇がやっと離れる。ねっとりとした透明な糸が互いに繋がり、キスの激しさを感じさせた。 「あ…どこ触って…」 「大分勃ってきましたよ。莉玖様はどう触られるのが好きですか?」  如月の血管の浮いた大きな手。その手が背後から俺の陰茎を下着越しに優しくなぞる。その間もチュ…と俺の首を優しく愛撫してもう一つの手で胸を触ってきた。 「ん…♡ん…♡」 「ああ…もう下着が染みてきましたね。気持ち良いですか?」 「ちが…気持ちよくない…あっ♡や…♡」  如月の手が直接俺の硬くなった陰茎を触り、亀頭を優しく触り出す。 「ほら、ぬるぬるです。御主人様以外に触られて欲情するなんて、莉玖様はやはり淫乱な雌犬ですね」  耳元でそう囁かれ、如月の低音の声が鼓膜に響く。山田の声も低いが如月は更に低くて、声だけで身体の芯が疼き出す。 「先端からねっとりした液体が沢山溢れてるの分かりますか? これを塗りつけて、こうやって触ると気持ち良いんですよ」  如月はまるでUFOキャッチャーみたいに指先で亀頭を摘み取る様に優しく刺激していく。その触り方が絶妙で、思わず彼に体重を預けたまま背中を仰け反らせた。 「ん、ん♡やぁ…ぁ…♡」 「ふふ…身体中敏感だ…本当に可愛いなぁ」  触られながら、チュッ、チュッと絶え間なく顔や耳、首へと唇を落とされる。浴衣はいつのまにか肩からずり下がり、硬く勃った二つの小さな尖りが露わになっていた。 「悠矢様は心配性ですね。首に少し痕があるのは知ってましたが、胸元にこんなに…莉玖様の綺麗な肌が台無しじゃないですか。若いなぁ……」  山田が付けたキスマークの痕を如月はいやらしく撫でる。撫でられる度に山田が愛撫する時の姿がまた浮かび上がって、それが消える様に必死で別の事を考えた。 「ん…ん……きさ、ら、ぎ……」 「莉玖様、口を開けて下さい。美味しく舐めるんですよ」  如月のゴツゴツとした長い指が俺の口の中に入ると、無意識に舌を動かした。 「そうそう…良い子ですね」 「ん…んぅ…」  ちゅぽんと指を引き抜かれると、そのまま小さな尖りに塗りつけられる。ぬるついた感触が快感を更に増幅させた。 「ひぅ…♡やだ…やめろぉぉ…♡」 「大分悠矢様に仕込まれてる様で…普通の男性ならこんなに感じませんよ」  如月の指が優しく尖りの先を弾く。やめろ、やめてくれ。そんなに刺激されるとまた求めてしまう。  全身の力が緩んでいる俺を布団へと倒し、如月が覆い被さってくる。下着を剥ぎ取られて、首元や胸をチュ…と優しく吸って「可愛いですよ」「綺麗だ」と甘い言葉をシャワーの様に浴びせられ、またあいつの顔が浮かび上がる。 「んん…山田ぁ…」  無意識に出た言葉に如月が反応して、顎を掴まれた。 「悠矢様とのセックスが嫌だったんでしょう? だから一週間かけて、私が上書きしてあげますよ」 「あ…乳首舐めんな…いやだ…」 「大丈夫ですよ。力を抜いて下さい」  ぺろぺろ♡♡ぺろぺろ♡♡ちゅぱっ♡ちゅぱっ♡じゅる…じゅるるるる…♡ 「あ〜…♡それやだ…♡きさらぎぃ…♡」 「これが好きなんですね。沢山舐めてあげますから気持ち良くなって下さいね…」  ちゅぱっ♡ちゅぱっ♡れろれろれろ…♡ 「ちが…♡ひぃぃん♡やっ♡やっ♡」  引き離そうと彼の方を見ると、如月の綺麗な顔が俺の乳首をやらしく舐める。普段澄ました顔の如月の舌が淫靡に絡み、たっぷりと唾液が塗り付けられ、胸の尖りと彼の舌尖りにねっとりとした透明な糸が掛かる。俺の顔を見つめる彼は反応を楽しんでいる様で、堪らず顔を逸らした。  乳首や胸、腹をひとしきり愛撫され、また激しいキスの雨が来る。その雨に自分から舌を差し出して絡める様になると、如月は俺を抱き起こした。 「この体勢の方が貴方の顔が近くて良いですね」    如月はまた俺を背後から抱き抱える。気持ちの良い所ばかり愛撫された俺は力が抜け、逃げない様に腹に回された手を振りほどく事も無く如月に身体を預けた。  自分より少し大きめの体躯をした彼の身体は、俺の身体をしっかりと包み込んでくれる。 「そうです、そのまま甘えて下さい。莉玖様は気持ち良くなるだけですから…」 「あ…あ…♡♡ん…んん…♡♡」  如月の大きな手が俺の血管の浮き出た陰茎を優しく包み込む。上下に擦られる度に、先端から汁が蜜の様に溢れ出すのが分かる。 「あ…はぁっ♡はぁっ…♡」 「声を我慢しないで下さい。私達以外誰も居ません」 「ひぅ…わき…なめ、るな…ンン…きたない…」 「綺麗ですよ。だからもっと可愛い声を聞かせて下さい…」  ぺろぺろ…♡ちゅうっ♡ぺろぺろぺろ…♡  如月は俺の腕を持ち上げて脇を丹念に舐め始めた。汗が滴り毛が生えてるその部分を舐められるのは、フェラされるよりも恥ずかしく感じる。二の腕の裏や脇、そのまま乳首をじっくりと舐められると、俺の陰茎はぴくぴくと震え出した。 「ここ、もっと触って欲しいですか?」  彼の手が俺の陰茎をやらしく撫で回す。 「あぅ…♡きさ、らぎ…♡さ、さわって…」 「ふふ。素直に言われると意地悪したくなりますね」  彼の手の動きがピタリと止まると、俺は懇願する様に彼を見た。「どうしました?」と薄く笑う如月。 「うぁ…やだ…イキたい…きさらぎ…手ェとめんなぁ…うごかせよぉぉ…」 「莉玖様はやらしい雌犬だから、自分で握りたいでしょう。見ててあげますから御自分でなさって下さい」  如月に無理矢理自分の陰茎を握らされ、自分で扱く様に促される。恥ずかしくて、死にたい。だけどイケないのはもっと苦しい。息を荒くさせて何度も自分で擦った。  だけど本当は山田の手でイカせて欲しいし、山田の物を挿れて果てたい。結局俺はあいつの事ばかり思い出してばっかりだ。 「う、うぅ…♡♡ゆう、や…ゆうやぁ…♡♡はぁっ…はぁっ…ゆうや…」 「悠矢様を思い浮かべてイクのはダメですよ」 「やだぁ…ゆうやがいい…」 「しょうがない、私がイカせてあげますね」 「ひぁ…♡」  如月がローションを塗りつけて、背後から俺の陰茎を素早く扱き始める。ローションのぬるつきと人に触られた感覚で、快感が更に増幅する。扱きながらもまた首や耳を愛撫され、ゾクゾクと悪寒にも似た悦びが身体に迸る。  二人だけの部屋に響きわたるぐちゅぐちゅとした卑猥な音と荒い吐息。行燈の仄かな明かりの中で如月の方を振り向くと、優しく唇を這わされ俺もそのまま舌を絡めた。 「ッはぁ…莉玖様、顔が蕩けてますよ。気持ち良いですか?」 「きさらぎ…はぁっ…はぁっ…もっと…手ェはやく…」 「イキたいならちゃんとお願いして下さい」 「あ…イ、イカせてくださ…♡き、さらぎ…」 「私の名前を教えたでしょう? いつも悠矢様に言ってる様にお願いして下さい」 「あ…♡あ…♡と、とうま…おれのやらしいおちんぽのみるくだしてくださ♡♡あ…っはぁ♡あっ♡」 「ふふ…あの方はアダルト動画の見過ぎですね。でもまぁ、莉玖様に言われると悪くないです…もっと私の名前を呼んで下さい」  如月が俺の耳にキスをして、髪の毛の匂いを嗅ぐ。全身が敏感になっているのか、地肌に彼の息がかかって、その度に身体がビクつく。 「んんっ♡とうま…♡とうまっ♡♡」 「ん…良い子ですね…莉玖様のおちんぽのみるく沢山出してあげます…」 「あ…あ、あ、イク…とうま…おれイく…あっ………ッ……♡♡」  白濁の液が勢いよく飛び出し、如月の指の間からも垂れ落ちる。やっと終わったと安堵したのも束の間、如月の手はまだ動きを止めない。 「あ…やめ…もうおれイッたから…はぁっはぁっ♡あ…♡や、や、や…♡♡」 「すみません莉玖様、やはり此処も使いますね」  ツプっとローション塗れの指が俺の後孔に侵入して内壁を擦られる。一度イって緩んでいたからなのか如月の指はスムーズに俺の中を擦る。 「ひゃうっ♡きさ、らぎ…ぬけって…ぬけって!」 「莉玖様の此処、凄く締まりますね。参ったな……こんなに莉玖様が可愛いと、我慢出来ないかもしれません」 「あ…やぁぁ♡どっちもはだめっ♡はぁぁあぁ♡」  後の孔と陰茎の刺激。頭がおかしくなる程の快感が込み上げて、また簡単に白濁の液が飛び散る。それでもまだ如月は手を止めてくれない。  もうやめてくれと頼んでも如月は優しく愛撫しながら手を動かす。 「あっひ…♡♡も、でないっ! でないってぇぇぇ♡♡へんになるからぁぁっっ♡♡」 「ドライオーガズムに達する練習です。明日はバイブで前立腺を刺激しながらやりましょうね。ほら、ここがそうです」  如月の指がいつのまにか二本に増やされて、浅い所でぐっと腹側に強い刺激が来る。 「はッ…ひッ…♡♡♡はーっ♡はーっ♡らめ…らめ…♡♡は…ぐッ…♡♡」 「みるく、空っぽにしましょうね」  涙と涎が垂れ流れる感覚がする。気持ち良いのにイケなくて、地獄の時間が暫く続く。俺の意識が飛びそうになった頃、如月は俺にタオルで目隠しを施し、正常位の体勢で脚を思いっきり開かせた。  汗塗れの自分の後ろの孔が空気に触れて、スースーとした感覚。とろりとした感触の大量の液体がそこに伝い、如月の指が俺の孔周辺を優しく撫でる。その刺激で、飛びかけた意識が引き戻された。

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