26 / 53

第四章 狼は愛に溺れる 3

「如月、お前キスすんなつったろ。早くイけよ。あームカつく…」 「すみません。莉玖様は挿入中にキスされるのが好きなので」  そんな事、俺の方がよく知ってる。結局如月はキスしまくっていて、当初の約束を破りまくりだ。自分で3Pを提案しておいて何だが、正直苛々してきた。そんな殺気立つ俺の視線を気にも止めないで、如月は上機嫌で莉玖の頬や首にチュッと音をたててキスを繰り返す。 「あっあっあっ♡♡あぅッ♡やらぁ…も、イク…」  目の前で他の男の陰茎を挿入して善がる恋人。身体に流れる汗も、その可愛い声も、何もかも俺の物。如月に見せた顔を見たいと思ったのは自分なのに、もはや怒りで頭がどうにかなりそうだ。  如月の身体ばかりに気を取られる莉玖を、どうにか自分の方へ意識を向かせたい。俺は如月が用意していた玩具の中から一つ手に取り、莉玖の滾る陰茎にあててスイッチを入れた。  ヴヴヴヴ……と低いモータ音が響き、機械の振動が莉玖の快楽をより揺さぶる。 「あひんッ♡♡ゆ、うや…ン゛ン゛ン゛…♡♡んぅぅ…♡♡あ〜…♡はぁ…はぁッ♡」 「莉玖、気持ち良いか? 腰すげー動いてんじゃん…俺ん時はまだそんな動かねーのに」 「こうやって寝転んだ方がもっと動きますよ。莉玖様、この前みたいに動いて下さい」  如月がそのまま寝転ぶと、背面騎乗位の莉玖はその上で更に腰をくねらせて快感に悶える。勃起した陰茎がぶるんぶるんと揺れて、その激しさが視覚から伝わる。  莉玖の意識がまた如月の陰茎に取られるのが嫌で、負けじと電マを莉玖の陰茎や乳首にあてがった。 「あっ♡♡やぁっ♡ん、んんっ♡はぁっ♡はぁっ♡ゆうや、もうそれらめぇぇ……♡♡ひンッ♡とうまッ…は、や…ッ」 「すみません、振動が気持ち良くて、我慢出来そうにないです」  如月の下から突き上げる動きが早くなり、莉玖の顔が余計に蕩け出す。そんな顔をさせているのが自分じゃない事に苛立ち、電マを更に押しつけた。  莉玖は更に大きな嬌声をあげ、今にも達しそうなくらい顎を上げている。 「あン゛ン゛ン゛♡♡はーっ♡はーっ♡やらぁぁッ♡♡ゆうやイク…おれぇイクってぇぇ♡♡ひぎっっ♡♡とうまッ♡あーッ♡イッちゃうってぇぇえぇ♡」 「莉玖…我慢すんな。いつもみるくいっぱい出してるだろ?」 「ふぁ…みるくでりゅぅぅッ♡♡」  暫くすると白い液体が勢いよく飛び散り、莉玖は力尽きた様に如月に身体を預けた。 「如月、腰止めんじゃねーよ。もっと動かしてやれ」 「勿論。莉玖様、まだ終わってませんよ」 「あ…も、やらぁぁ…あっ♡やっ♡やっ♡ンンッ! あ…とうまッ♡あ〜…あ〜〜ッッ♡♡」  如月に四つん這いにされて後ろから激しく突かれる莉玖。上体がベッドに沈み込み、シーツを掴んで、背筋には汗が垂れる。扇状的な恋人の喘ぐ姿に苛つきながらも、股間は素直に反応する。莉玖の頭を掴んで、無理矢理咥えさせると、如月の突く動きで勝手に莉玖の口はしゃぶってくれる。  じゅぷっ♡じゅぷっ♡じゅぷっ♡じゅぷっ♡ 「莉玖〜、ケツまんこと喉まんこにちんぽ挿れて満足か?」  莉玖の両耳辺りを掴んで、無理矢理自分の方を向かせた。少しだけ流れる涙と、俺の陰茎を口いっぱいに頬張る顔。んフゥ…んフゥと鼻息だけで返す彼が可愛くて、そのまま自分の腰を激しく動かし、彼の口内を犯した。 「んんぅ…んぶっ…♡♡はぁっ…♡ンンッ♡」 「莉玖、如月に突かれて気持ちいいか?」  陰茎を引き抜いて莉玖の顔を覗き込むと、莉玖は後ろからの刺激に耐えながら俺の質問に答える。 「きも、ちいぃ…♡あ…♡あぅ…♡」 「そっか…気持ち良くて良かったな…俺にその顔、もっと見せろ」 「あ…ゆぅや…♡んんぅ…♡」  突かれている莉玖に舌を絡めると、彼は必死に舌を絡め返す。ひとしきりキスをして、また自分の陰茎を舐めさせると、莉玖の口元は涎塗れになった。たっぷりと唾液で滑った口内。流石に我慢出来なくて、早々と達した俺は、彼の綺麗な顔へ精液をぶち撒けた。  他の雄に腰を振る淫乱な狼に、俺の物だと分からせる刻印だ。 「はは…良い面してんなお前…俺の精子まみれ…」  程なくして如月も達して、陰茎を引き抜かれた莉玖は、そのままぐったりとベッドにうつ伏せになった。  まだ、終わらせねぇよ。お前は俺の物だってわからせねぇとダメなんだから。お前は如月のじゃなくて、俺のだ。俺の方が良いってわからせてやる。 「如月、お前はもう部屋帰れ。こっからは俺と莉玖だけだ」 「わかりました。多分次挿入したらドライでイキますよ。浅い所を散々攻めてから奥に押し込んで下さい」  こいつのアドバイス通りに動かすのは腹が立つが、今日は素直に受け取っておこう。  うつ伏せの莉玖を仰向けにすると、ローション塗れの彼の陰茎はふにゃりと項垂れている。それをぱくりと咥えると、莉玖の身体がビクンッと反応した。  いくらローションを舐めても害が無いとはいえ、若干抵抗はある。だけど今は莉玖を気持ち良くしたくて、ベトベトの陰嚢から竿、カリ首や鈴口、そして孔まで丹念に舐める。  ふにゃりとしていた陰茎はすぐに硬度を取り戻し、先端から汁が溢れ出す。その汁を舐めとると、これ以上の快楽が怖いと俺の頭を引き離そうとする莉玖。そんな彼の姿すらも愛おしい。 「ゆうや…もッ…やらぁぁ…イクのやらぁ….」  顔中、俺の精子塗れになっている莉玖は、目を瞑って快楽に耐える。ああ、なんて可愛いんだろう。陰茎は血管が浮き出て、完全に雄の其れ。こんな立派な物を持つお前が、俺に組み敷かれて乱れる姿を早く見たい。 「如月のちんぽハメてあんなに気持ち良くなってるお前見て、俺が引き下がると思うのか?」 「それはゆうやがみたいっていうからだろぉ…アッ♡はぁっ♡あン♡あ〜…つよくすうなよぉぉ♡♡」  ぐぽっ♡ぐぽっ♡ぐぽっ♡べろべろ♡ちゅうっ♡れろぉ…♡ぐぽっ♡ぐぽっ♡ 「あ〜…イク…またイク…もぉやら…♡♡あ…ゆうや…口、はな、せ…」  勿論俺が口を離すこともなく、莉玖はそのまま口内に精液を発射した。心なしかさらさらとしていて、ごくりと飲み込んでも喉に引っかからない。また射精をさせすぎたかな、と少し反省した。だけど、この滾る性欲は今更止められない。  俺はローションを孔と自分の陰茎に追加して、ゴムも着けずに莉玖の穴へ挿入した。  挿れた瞬間纏わりつく彼のやらしい淫肉。熱くて、柔らかなのに、ぎゅうっと締め付ける。  ああ、これだ。十日も待ち侘びた感触に、腰の律動を止める事なんか出来やしない。 「ひぐッ♡♡はや…はやいぃ♡ゆうやッ♡とめろッ♡へん、へんになるッ♡♡はひぃッ♡♡は…♡んぁぁッ♡♡」 「止めろ? お前も腰動いんてんだろ。あー如月のが挿入ってたからケツまんこ緩んでるし…腹立つ…おい、もっと締めろボケ」 「むりぃぃ♡♡あっ♡やらやらぁぁッッ♡♡お、ぐ…ッッ♡♡」  ずぷりと最奥を刺す様に捻じ込むと、莉玖は身体を捩らせてびくびくとしている。 「アナニーして、他のちんぽハメて、ほんとやらしい…チクニーだって嫌がってたのに…なぁ莉玖…お前は俺のモンだろ? 何で俺以外のハメて悦んでんの? そんな奴にはお仕置きしねぇと…」  上にずり上がっていく莉玖の身体を引き寄せて、ごりゅっとまた突き上げる。その刺激で淫肉が、また更に俺の陰茎を締め付ける。熱くて、最高に気持ちが良い。 「何だ…締まるじゃねーか。もっと締めろ」 「はひゅっ♡はっあ…あぁッ♡ひゃ…あぁッ♡♡んぁっんぁっんぁっ♡はーっ♡はーっ♡も、むりぃ…♡」 「莉玖、手ェ休めんな。俺が挿れてんだからそのフニャチン勃たせて自分で扱け」  俺の声に反応して、莉玖は涎と涙を垂らしながら、はぁはぁと息を荒くして陰茎を扱き始める。イカないと終わらないのをわかっている彼は、目を瞑って一生懸命手を動かす。 「お前のケツまんこは俺のちんぽだけが好きだろ?」 「あっ♡♡はっ♡はっ♡しゅきぃぃ…♡ゆーやのがいちばん…あっ♡そこぉぉッ♡♡」 「ん…ここか?」 「あ〜ッ♡♡きもち〜…♡♡もっとおぉぉ♡」 「お前のここは俺しかダメ…なぁ…莉玖…ッ…気持ち良いだろ? ……もっと欲しがれよ…」  パンパンと腰を打ち付けると、ローションがぐちゅぐちゅと音を立てる。結合部分は泡立ったローションと莉玖の孔から伝い漏れるローションが混ざって白く濁り、俺の陰毛までたっぷりと付着している。 「あッあッあッ♡♡あ〜〜ッ♡も、おしっこでる…やら…しっこでる…」 「莉玖…俺の事好き? 俺だけが好き?」  莉玖は善がりまくっていて、俺の声は届いていない。目を瞑ってただ押し寄せる快楽に嬌声を上げるだけ。ダメだ、俺の目を見て、その可愛い口から聞かせてくれ。 「答えろよ。なぁ…訊いてんだろ…莉玖…」  無意識に莉玖の首を絞める。その瞬間、孔がキュウッと締まって、陰茎から精液が搾り取られそうになる。それが気持ち良くて、莉玖が死なない程度に首を絞めた。  また、最低な事をしている。だけど首を絞めても莉玖は蕩けそうな顔をするから、その顔も何度と見たくて、また手に力を入れる。  俺の刻印を顔中につけて、俺を見つめるその顔。今はこの瞬間、お前の眼にも頭にも、俺しか居ない。そう思うと股間のものが益々興奮して怒張する。 「莉玖…? 言えよ…俺だけが好きだって…なぁって!!」 「あ…ゆ、ぅや…す、き…ぁ……く、る…し…」 「本当に? 本当に俺の事だけ好きか? 如月のとこ、行かねぇよな? なぁ莉玖…約束しろよ…どこにも行かねぇって…」 「……ど、こにも…い、かな……は…ゆ、ぅや…いき、できな…」  顔が真っ赤になって苦しそうに俺の手を退かそうとする莉玖。だけど手の力は緩めない。  手のひらからドクドクと莉玖が生きている音がする。  莉玖、お前は俺の為だけに生きるんだ。俺から離れるなんて、許さない。俺以外にお前が触れるのは、やっぱり嫌だ。 「ゆう、や……く、るし…」  手の力を緩めると、莉玖はゲホゲホと苦しそうに咳をした。だけど俺はそれでも腰の律動を止めず、咳き込む彼を揺らして、孔の中を更に激しく掻き回した。  なんて汚い感情。お前に優しくするって決めたのに、結局お前を傷つける。オレは一体どうしたらいい? 噴き出る感情が抑えられなくて、自分ではどうしようもない。  苦しそうに真っ赤になった莉玖の顔が俺へと向くと、彼は少し驚いた顔で、そしてゆっくりと手を近づけた。その手が優しく目尻に触れた瞬間、俺は自分が泣いてる事に気づいた。  静かに流れる液体を、莉玖は黙って拭い取る。 「ゲホゲホッ……はぁ…何で…泣いてんだよお前は…泣きてーのは首絞められた俺の方…」 「莉玖…俺…どうしたら、いい。お前の事、好きで、苦しい…」 「アホか…一生離すなって、俺言っただろーが…」  優しい声で俺を引き寄せる莉玖にそのまま覆い被さり、彼の骨が折れそうな程抱き締め、自分の腰を打ち付けた。  わからない、わからない、わからない。  こんなに胸が苦しくなる事も、涙が出る事も、大事な人を傷つけてしまう事も。どうして俺は、莉玖に酷い事ばかりしてしまうんだ?  こんな俺は、このままお前と一つに溶けてしまいたい。  そうすれば、お前を傷つける事なんかなくなるのに。  なぁ莉玖、助けてくれ。  お前の事を考えると、自分が自分じゃなくなって怖いんだ。  本当にお前を殺してしまいそうで、怖いんだ。  莉玖の顔に撒き散らした精液から生臭い臭いがする。  俺の出すものは、全て、汚い。  優しいものだけをお前にあげたいのに、上手くいかない。

ともだちにシェアしよう!