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刻むこと side朱斗

 時を刻むことは簡単だ。時間は勝手に流れていくんだから、何もせずに待てばいい。  刻むだけなら。  難しいのは、誰かと共に同じ時を刻むこと。  生き方も性格も個性も違う同じ人間という人種と共に刻むのは、一時だったら我慢で乗り越えられる。    一生、だったら……?  きっと自分の犠牲を払った上で余程の覚悟が必要だろう。  簡単に思えた時間の経過が、困難になる時が来るだろう。  それでも流れていく。  時は止まる事なんて知る由もない。 「あんたとの毎日をキラキラ眩しいほど上手く描こうなんて思ってない。何でもいい。最後に朽ちるその瞬間に俺で良かったってあんたが思えるならそれで良い」 「遠回しのプロポーズにしか聞こえないよ?」  その時に見せたのは、大好きなあんたの笑顔だった。綺麗な色達で塗っても、それが綺麗な思い出とは限らない。籠の中の鳥のように、美しい毛並みを持っていても自由を許されず管理されたら、それは幸せなんだろうか。  きっと助けられるんだろう。  あんたのその笑顔にこれからも数え切れない程に助けられて、俺達は思っても無い程の素敵な景色を見ていくんだろう。  刻んでいく。一つ一つ今を刻んでしっかりと歩んでいく。  過去が綺麗に染まっていると振り返る為に。

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