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君も寝癖も(2)
━━━━……
弁当を食べ終わり、俺たちは床へと座りなおした。
二人でぴったりと並んで座り、壁に背中を預ける。
隣にいる吉川へと視線を向ければ、どうやらお腹いっぱいになったらしく、ふぁ~っと大きなあくびをした。
そんな小さな体なのに。
あくびは吸い込まれそうなくらいに大きいんだな。
「吉川、おいで」
「ん、」
あくびのせいで涙が出たのか、目尻を拭いている吉川。俺はその手を引き、自分の膝の上に乗るよう促した。
こくりと頷き、小さく笑ってから吉川が俺の膝に乗る。
こうやって二人で食べ始めるようになったばかりの頃は、恥ずかしがっていてなかなか頷いてくれなかったけど。
最近では慣れてきたらしく、わりとすんなり座ってくれる。
小動物を手懐けるって、こんな感じなのかな。
「吉川」
「んぁ?」
「今日も髪の毛跳ねてる」
“ほらここ”
俺は吉川の背中にゆっくりと手を回し、もう片方の手で吉川の寝癖に触れた。
「何でいつもこんなとこが跳ねてんだろうな?」
くるくると寝癖に指を絡ませる。
吉川は「ちゃんと乾かして寝てるのになぁ」 と、そう言って首を傾げた。
ああもう本当に可愛い。
俺は髪に触れるのをやめ、それから吉川の頬を指先でくすぐった。
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