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君も寝癖も(5)
「おぉ……のっ……」
「吉川、可愛い」
キスの合間に可愛い小さな唇の隙間から漏れる声も、必死でついて来ようとする温かい舌も。
びくびくと震える肩も、俺の制服を握りしめる手も。
そして何より、動く度に跳ねる寝癖が。
可愛くて、愛おしくてたまらない。
好きだなぁ、本当に。
吉川のことが、すごい好き。
しばらくの間、夢中でキスを繰り返し、吉川をたっぷり味わって。
唇を離せば、まざりあった唾液が伸びて、ぷつんと切れた。
とろんとした瞳で、吉川が俺を見つめる。
困ったなぁ。
その瞳も、濡れた唇も、何もかもが俺をそそるんだから。
もっと色々したくなるだろ。
俺はそんな気持ちを誤魔化すために、吉川を自分の胸に抱き寄せた。
「キス、ごめんな」
「ううん……」
「吉川が可愛すぎて、やめられなかった」
「うん……」
ぽんぽんと頭に触れると、吉川が頬を擦り寄せるようにして、俺の胸に顔を埋める。
期待、してもいいのかな。
「キス、嫌じゃなかった……?」
「……うん」
「キスした後に言うってさ、順番的におかしいけど、俺、けっこう前から吉川のこと好きだった」
「……うん」
「吉川も、俺のこと好きだったり、する?」
「……ん、だいすき……」
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