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好きだと言って(4)

「そうやってすぐ、キスでどうにかしようとする……」 「気持ち良かっただろ?」 「だからそうじゃなくて」 「あれー? 翔琉くんは俺とのキスがお気に召さなかったのかなー? じゃあーアレだ。今後一切ナシの方向でー」 「だからそうじゃなくて……!」 歯を食い縛り、泣かないようにぐっと堪える翔琉。 あ、これは完全にキレるかな? “もういい”って、どっか行っちゃうパターン? 「かーけーるー?」 翔琉は、本気で怒ると口をきいてくれなくなる。 それを分かってて、怒った翔琉に話しかけるのは楽しいし、そうやって散々話しかけといて突然無視するのはもっと楽しい。 そわそわし始めて、結局泣いて。 翔琉が悪くて怒っても、俺が悪くて怒っても、謝るのはいつも翔琉。 「かけるくーん?」 怒れ怒れ。 “もういい”って叫んで、出て行ってしまえ。 今日は追いかけもせずに、すぐ家に帰ってやるからさ。 翔琉のマシュマロみたいに柔らかい頬をふにふにと指で弄りながら、脳内では最悪なことを考える。 だって本当にコイツ単純だから弄るのすげー楽しいし。 俺のせいで泣くのも気分がいい。 「かーけるちゃん」 横に伸ばしては、優しく撫でたり指で弾いたり。 怒れ、怒っちゃえって思いながら頬を弄りを続けると、俺の手にぽとりと涙が落ちた。 「……っ、ふ……」 あれ……? いつもと反応が違う。

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