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ばかとバカの関係(2)
いや、“ばか”なんて可愛いもんじゃない。
ひらがなじゃなくて、カタカナの“バカ”。
「何でばかなんだよ……っ」
好きになった奴が男で、しかもよりによってアイツだなんて。
俺は、俺じゃない奴に抱きしめられてにこにこ笑ってるばかを見ながら、大きなため息を漏らした。
帰り道、暇だなぁなんて思いながら近くにあった石を蹴った時、背中にものすごい衝撃が走った。
誰かがわざと体当たりしてきたような、そんな感じの。
「ってぇ!」
俺にぶつかってくるだなんていい度胸じゃねぇかと、首をぐるりと回し指を鳴らしながら振り返ると、目をキラキラ輝かせて俺を見つめるばかがいた。
「よっしゃ! 敵をしとめだぞ!」と、相変わらずなことを叫んでる。
「んだよ、お前かよ」
“ひとまず今のなし、訂正。可愛いから許す”と、心の中で呟き、「俺は敵じゃねぇぞ」と、天パでふわふわの髪をくしゃくしゃにすると、今度は「おのれ、僕の急所を……!」と叫び、ばかは俺のみぞおちを殴った。
「ってぇな本当に、何なのお前」
いくらお前でもそう何回もされたら、さすがに俺だって怒るぞ。
とか思ったけど、自分の天パを急所だなんてやっぱり可愛い。
結局可愛いが勝ってしまう。
「はぁーっ」とわざと大きなため息をつくと、「すぅーっ」とばかが息を吸った。
何してんだ? コイツは。
きょとんとした顔でばかを見ると、もっと近づいてとでも言うように、ちょいちょいと指先を曲げて俺を呼んだ。
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