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君は、僕のもの。(1)

文字を書いていた手を止め、ふと顔を上げてみれば、視界に入ってくるのはたくさんの人に囲まれて笑う彼の姿。 今日も、いつも通りの毎日。 僕は一人、離れたところでその様子を見ているだけ。 騒がしいのが苦手かと聞かれればそう言うわけでもなく。 ただ、彼を取り囲むクラスメイトの中には、彼に対して特別な感情を抱いている子だっているし。  彼はその、ピンク色の他人の感情に鈍感で、なかなか気づかないけれど、僕はすぐに分かってしまう。 ああ、この子は彼のこと好きなんだなぁって。 だから、彼と彼のことを好きな子たちが喋っているのを見ているのはつらいし、そうやって毎回うじうじ悩む自分もめんどくさいから。 だからいつも、少し離れたところにいるんだ。 彼は、そんな僕の感情にも鈍感だから、どうして僕が離れたところにいるのかは気にしていないみたい。 でも、みんなとのわいわい騒ぎが終わったら、当たり前のように僕の傍に来て声をかけてくれる。 そうして優しくふわりと笑って僕の頭を撫でると、隣に座るんだ。 それからは、僕と彼だけの時間が始まる。 僕のノートを見て、彼はいつも綺麗な字だと褒めてくれる。 心の綺麗さが、そのまま字に表れるんだろうねって。 だけどそんなふうに、嬉しくて恥ずかしくなるようなことをさらりと言ってしまう彼が、たまに少しだけ憎くもある。 そんなことを言うから、みんな彼を好きになっちゃうんだ。

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