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どうしようもなくて(3)

  もういっそのこと、食べてしまいたい。 何もかもを俺のものにしてしまいたい。 「はや、かわ……く、んッ、」 潤んだ瞳で俺を見つめて、やめてと、声にならない声で叫ぶ。 弱々しい抵抗。 だからさぁ、それじゃダメなんだって。 もっと、もっとちゃんと抵抗してよ。 嫌ならさ、もっと強く嫌だって言えよ。 そんな抵抗しかできないから、アイツらだってやめないんだ。 煽ってるとしか思えない。 そんな顔されたら、誰だって止まらないよ。 「頼むから、触らせないでよ」 他の誰にも。 俺以外には絶対、触らせないで。 「はや……、かわく、ん……」 君に目を付けたのは俺が最初で。 殴ったのも、髪を引っ張ったのも。 蹴ったのも、ハサミで傷つけたのも。 「ねぇ、ちゃんと抵抗しなよ」 真っ白な体を見たのも、痕を付けたのも。 全部、俺が最初だったのに。 「頼むから、抵抗してよ、」 なぁ、結城。 「もっと、ちゃんとさぁ、嫌だって言ってよ……」 だって俺には、今さら君を守りたいなんて思う資格も、守る資格もないんだから。 離れてしまった君の心に触れることなんてできないんだから。 だから、頼むよ。 「頼むよ、結城……」 俺以外に君に触れる奴も、 こんなひどいことをしながら君を想ってる俺も。 全てを、ちゃんと否定して。 「……っ、くそ、」 俺の下で声をあげてただ泣くだけの結城の頬に、俺の涙も一緒に流れた。 END

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