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これから始まる(1)
彼を好きだと気づいたのは、いつ頃だっただろう。
俺の名前を呼んでくれるその声に、向けられるその優しい笑顔に、頭を撫でてくれるその大きな手に、ときめきを感じて、胸が締め付けられるように苦しくなったのは、いつからだったっけ?
もう、そんなことさえも忘れてしまうくらいに、長い間彼のそばにいて、密かにずっと彼のことを想ってる。
幼なじみで、しかも家が隣だから。
何か特別なことがあってもなくても、いつも俺らは二人一緒。
部屋のベランダからすぐにお互いの部屋に遊びに行ってはわいわい騒いで。
そんなふうに一緒に過ごすことのできる時間は、俺にとってはとても貴重な時間。
でもそれも、今では楽しさよりも苦しさの方が大きい。
近いけれど、触れられない。
手を伸ばせば触れられる距離にいるのに、そうできないのがもどかしい。
「ひかる、もう寝るの?」
今日も彼は俺の部屋に遊びに来ていて、今までゲームをして遊んでいた。
だけどさすがに眠気が限界に来たから。
俺は、ゲーム途中の彼の横から離れ、自分のベッドに寝ころんだ。
そんな俺の顔を、彼はゲームをやめて覗き込んでくる。
「うん、」
俺はじっと見つめられるのがとても恥ずかしくて、小さく返事をするとそのまま枕にうつ伏せになった。
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