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これから始まる(2)

「じゃあ俺も寝るわ」 彼はそう言って、ぽんぽんと優しく俺の頭を叩く。 俺はもっと深く布団を被り、耳まで隠した。 大きく温かなその手に、緩む頬と赤い耳を見られないようにって。 「うん、おやすみ」 自分の部屋に戻る前にこの部屋の電気を消してから出てくれと、俺は枕から顔を上げることなく彼にそう言って手をひらひらと振った。 それなのに。 いつまで経っても部屋の電気は消えないし、彼が部屋から出て行く音もしない。 不思議に思って、少しだけ顔を上げると、すぐそこに彼の顔があった。 「うわ!」 「ふはっ、」 驚いた俺をからかうようにして笑い、彼は被っていた布団を引き剥がす。 「え、何してんの?」 急に布団を奪われたせいで体温が下がる。 熱くなった頬も一気に冷めた。 この状況に、ついていけない。 いつものように、自分の部屋に帰るんじゃあないの? ゲームだって、終わらせただろ。 「ねぇ、だから何してんのって」 彼が、片膝を乗せた。 ベッドがギシリと沈む。 「や、俺もここで寝るからさ、」 「え? 自分の部屋に戻って寝てよ。ここ、俺のベッド一つしかないんだから」 「は? 同じベッドで寝ればいいだろ。最近さ、一緒に寝てないじゃん。だから久しぶりに寝ようぜ」 最近一緒に寝ていないからって。 俺らはもう高校生だぞ。 最近というか中学くらいから一緒になんか寝てないだろ。

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