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口実(2)

「俺のこと、嫌いになった?」 重ねた手に力を込め、その手を握りしめる。じっと覗き込むようにして見つめれば、チッと舌打ちをされた。 「ああもう、あなたって人は」 高尾の口からため息が漏れる。高尾──と小さな声で名前を呼ぶと、もう片方の腕を掴まれそのまま胸に引き寄せられた。 大好きな高尾の匂いに、俺を包み込む彼の体温。胸の奥が痛いけど、その下には幸せが広がる。 高尾、好き。こうやって抱きしめたまま、俺のことを離さないで。 俺、離れたくないよ。 「そういう顔をして、しょんぼりしてみせるなんて。卑怯ですよ、本当に」 「頭がいいって?」 「はぁ……。何があっても嫌いにはなりませんから。だから生徒会室に連れ込むのはやめてください。そしてもっと会長らしい行いをしてください」 「気が向いたらな」 俺は高尾の背中に腕を回し、すがりつくようにして抱きついた。それからその胸に頬を擦り寄せる。 何があっても嫌いにならないと、そう言ってくれるのなら、俺は何があってもやめたりしない。──やめられるわけがない。 だって俺は、お前のことがたまらなく好きで、だからこんなバカなことをやっているのだから。

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