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永遠に(1)
朝からずっと、ザーザーとうるさく降り続ける雨。窓に模様を作っていくそれを、俺はソファーに座りぼーっと眺める。
せっかくの休みだというのに、出かけることもできやしない。
天気は最悪、気分は憂鬱。
さっきから漏れるのはため息ばかりで、そんな俺を見て彼は困ったように小さく笑う。
「さっきからため息ばっかりだね。どうしたの?」
ギシリとソファーが沈み、彼が俺に近づく。
彼の方を振り向き、じっと見つめると、何も言わずに抱きしめてくれた。
「……っ」
彼の匂いに、温もりに包まれ、それだけのことで胸の奥がぎゅうっと締め付けられ、目頭が熱くなる。
彼の前で泣くことはしたくないからって、涙がこぼれないように目を大きく開いた。鼻が、ツンとする。
「とおるくん」
俺の名前を呼ぶ彼の背にゆっくりと手を回した。その手が震えているのが自分でもよく分かったから、誤魔化すように彼のシャツを強く掴む。
「ねぇ、秋野さん」
「ん?」
「ずっと、一緒にいてくれる……?」
「当たり前でしょ。離す気なんてつゆ程もないよ」
“まだあのことを気にしていたんだね”
ぽんぽんと優しく頭に触れられて、我慢していた涙が頬を伝った。
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