「はぁ……、」 さっきから漏れるのはため息ばかりで。自分でついておきながら、そのため息にまでイライラする。 けれどもう、何時間も一人で目の前のパソコンと闘っているのだから、無理もないことだ。 世間は楽しいゴールデンウィークだというのに、俺には休みの一つもない。 いや、ちゃんと言えば、“俺たち”だった。だけどそれが“俺だけ”になってしまったんだ。ついさっきね。 俺と同じで連休中も駆り出されることになった同僚たちは、何かと理由をつけて帰ってしまったから。優しい部長が、「無理のない程度に仕事を」だなんて中途半端に頼んでいったもんだから、本当にみんな無理のない程度だけやっていなくなってしまった。 でも、さすがにそうは言っても、全員いなくなってしまったらダメだろう。 連休は残り三日。しかも、その残り三日に誰も出社しないらしい。まぁ同僚たちは俺以外、ほぼ妻子持ちか彼女持ちだしな。連休が大切なのは分かるさ。だから引き留めることもできないわけだし。 今、自分がものすごく惨めだ。 「はぁ～……」 漏れるため息が、さっきよりも大きくなる。その一方でカタカタとキーボードを叩く音は小さくなっていく。もうそろそろ、指が限界。