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分かったことは。(8)

俺にだけあんなに押しつけたってことは、俺にだけに仕事をさせようと思ったわけで、わざわざ心配するなんて不自然だし。それに俺は仕事はきっちりこなすわけだから、いちいち主任に途中経過に口を出されたくはない。 「笑いに来ました?」 「え?」 「俺のこと、笑いに来たんですか? 連休中に、一人で仕事してる俺を」 「……野崎くん、そんな、」 主任の動揺が伝わる。自分の上司に、それにどんな事情にせよ差し入れを持ってきてくれた上司に、こんなことを言うなんて本当に失礼なことだけれど。もう言ってしまったから。俺には止められない。 「俺ね、主任のことすげぇいい人だって思ってました。まぁ、今もこうして差し入れくださるし、過去形として言うのは変でしょうけどね。でも俺、主任のこと良い人って、ずっと思ってたんですよ?」 「野崎くん、」 「それなのに、これってあんまりじゃないですか? そんなに、俺に仕事押しつけたかったんですか? だから、あんなこと聞いた? 俺に色々、彼女はいるかとか、ゴールデンウィークに予定があるかとか。最初からそのつもりで?」 「ちがっ、それは僕が、」

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