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分かったことは。(13)

「すみません。キス、やめられなかったです」 「……っ、」 「でも自分が何で主任にキスしたのか分からないんで、聞かないでください。失礼な態度を取ったことも、失礼な口を利いたことも、謝ります」 「野崎……く、ん、」 「俺、ちゃんと仕事終わらせるんで。心配しなくて大丈夫です。だから、」 「野崎、くん、」 「だから、今日のことはなかったことにして帰ってください。休み明けからまた、ご指導お願いします」 「……っ、」 すみませんと、何度も口にしながら深く頭を下げる。だけど手には主任のふわふわの髪の毛の感触が残っているし、キスも忘れられそうにない。俺がそうしろと主任に言ったくせに、そうできそうにない。勝手すぎると、自分でも笑える。 俺は、主任をどうしたかったんだろう。 仕返しでもしてやろうかって思ったのか? ──いや、でも、頬に触れた時もキスしてる時もそんな感情はなかった。ただ、衝動的にそうしたいと思った気持ちを抑えきれなかっただけ。 俯いて謝ることしかできないけれど、それでも今はそれをやるしかない。 今更になって、泣かせてしまった罪悪感が襲う。

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