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分かったことは。(14)
「野崎くん、」
「……えっ、ちょ、……ん!」
とにかくひたすらに謝罪していると、主任に名前を呼ばれた。けれど顔をあげた途端に、涙でぐちゃぐちゃな顔で主任が俺にキスをした。涙の味がする。
「主任……?」
「部下に、全て仕事を押しつけるつもりは、なかったんだ。最初から、手伝うつもりでいた」
「……え、」
主任が、俺の手を握った。やっぱり細い。強く握ったら折れてしまいそうだ。
「でも、欲が出た。連休中にわざわざ仕事に来るのなら、楽しく仕事したいって思った…。だから、野崎くんに仕事をたくさん押しつけたんだ。夜まで、残らなきゃいけないように。そうしたら、二人きりの時間ができるって、僕はそう思ったんだ、」
「主任……?」
「僕は、君が、とても好き。でもこんな気持ちのせいで、君に迷惑をかけたよね……。本当は、キス、怒ってしたのでしょう? 仕事を押しつけた仕返しにって、」
「いや、」
手の震えが大きくなる。今、どんな気持ちで話しているのだろう。俺のことが好きだって、主任はそう言うけれど。
だとしたら、俺は、かなり傷つけてしまっているはず。
それなのにこんなことまで言わせて。
俺が、勝手に押しつけられたと騒いでひどいこと言って、あげくよく分からないままにキスまでして。
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