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鯉のぼりの思い出と。(6)

腕枕してやってたの覚えてるか? って、タカが俺の頬に触れた。覚えてるに決まってんだろ。俺だってタカに腕枕されるの、すっげぇ好きだったから。 「いつも一緒いたよなぁ。お前といるのが当たり前すぎて、そういう時間の大切さってものに気づけなかったけど、今離れてみて結構感じてる」  「……え?」   「大切だなぁって、思ってんだよ。このバカが」 「……なっ!」 さらりと、とんでもないこと言いやがったぞ、と起きあがろうとするも固定されたままだから体の硬い俺には無理だった。 せめて──と、ゴロリと寝返りを打つ。けどすぐに後悔した。顔が、あまりにも近すぎる。 鯉のぼりから解放してくれ! と思わず叫べば、なぜかその口を塞がれた。キスされてるって俺が必死に理解した時もまだ塞がれてるから、相当長いキスだ。 長いキスって俺が理解できるくらいに長いってことは、超長いキスに決まってる。 「おい、お前さ、今変なこと考えたろ?」 「……っはぁ、」 「すげぇ力入れるからキスできなかっただろ」 「キスした、じゃん!」 「んなの塞いでるだけだし」 「はぁ?!」 キスと口を塞ぐの違いが俺には分からないんだけど。……ってそうじゃなくて、俺、タカにキスされたんじゃん! 考えるところ違うだろ。

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