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鯉のぼりの思い出と。(8)
「……う、うそ、」
「バカなトモくんは、日本語も分かりませんか?」
「……っ、」
日本語が分かるから戸惑ってるんだろ! って、タカの髪の毛を掴んで引っ張ると、それもそうかと納得してくれたのに頬をつねられた。
「また離れるけど、トモは俺のものだからな。忘れんなよ」
「……本当に?」
「は?」
「本当に、タカのもの?」
「そうって言ってんじゃん」
「そっか、」
確かめ足りないならもう一度キスしようか?ってタカがそう言うから、素直に目を閉じるとクスリと笑われた。でもすぐに口を塞がれる。さっきよりも、気持ちの良いキス。
なんだか少しだけ眠くなってきた。
「トモ、眠い?」
「ん、」
「このまま昼寝しようぜ」
「じゃあ、鯉のぼり脱がせて」
いい加減、下半身が苦しいんだけど。自由にして欲しい。
「それはダメ」
「何で?」
「鯉のぼり以外も脱がせたくなるから」
真顔でさらりと、また変なことを言うタカ。俺の頬の熱が一気に上がる。鯉のぼり以外もって、ナニする気?!
「……はぁ?! おまっ、」
「お! バカトモでも、エロいことには敏感だな」
そこを突かれたら痛いけど、でも誰だってこんなこと言われたら反応するに決まってる。きっ、と睨みつけると、その顔も可愛いとあっさり流されてしまった。
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