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鯉のぼりの思い出と。(9)
「エロいのは、タカだろ!」
悔しいけど、こんなことしか反論できない。
「はいはい」
「だから、はいはいって言うな!」
「じゃあキスしよ」
「……っ、ちょ、……んむっ、」
唇にキスをして、頬に鼻、まぶたとおでこ、首筋、あらゆるところにキスをされる。鎖骨にはキスマークまで付けられた。
「おやすみのキスしたから、昼寝の時間な」
「昼寝、しなきゃダメ?」
「朝一の飛行機だったから俺もあんま寝てないし、眠いから寝る。お前も眠いって言ったじゃん」
「でも、」
「大丈夫、夢じゃねぇから覚めねぇって。起きたらここ見てみ? 印付いてるからさ」
「……ん、」
こくりと小さく頷くも、何だかあっけなく両想いになってしまったもんだからスッキリしない。や、まぁね、俺の今までの気持ちを考えてみれば、あっけなくはないんだけど、それでも一気にことが進みすぎて不安になる。
片方の手をしっかりとタカの背中に回した。くっついておけば、少しは気持ちが落ち着くから。
──と思ったら、タカが頭を上げ、俺の腕を解放してくれた。それから自分の腕を、俺の頭の下にいれてきた。
「やっぱり俺が腕枕するわ。だから安心して寝な」
「……ん、」
さっきよりももっと、タカにぎゅうっと抱きついた。聞こえてくる心音とタカの体温にホッとして眠くなってきた。窓からは心地よい風が吹いていて、それが涼しくて気持ちいい。
俺は、子どもの頃を思い出しながら、でもその時とは違う──幼なじみに加わった新しい関係にドキドキしたまま、目を閉じた。
END
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