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君と会える日(2)
「俺、今日の朝、天気予報見て来たんだ! そしたら明日から一週間、ずっと晴れだった」
興奮して話すその子の言葉に、クラス中が騒ぎ始める。
「どうしよう……。時雨くんに一週間も会えないの?」
「ぜってぇ嫌だよそんなの」
「寂しくなっちゃう」
雨が降らなくなって、教室で突然透明になってしまうこともたまにはある。
それと、最初から晴れている日は、僕は学校には行かない。
家で過ごすのは寂しいけれど、体が透けている時は、いつもやっていることができなくなるから。
ボールを蹴ることも、ペンを握ることも。
みんなが楽しく授業をしたり遊んだりしているのを、僕はただ見ていることしかできなくて。
それなら、晴れている日は最初から学校に行かないほうがいいって、そう思ったんだ。
「じゃあ今日の放課後、みんなでサッカーしようぜ!」
「一週間分、思いっきり遊ぼう!」
「時雨くん、来週は私がノートとっておくからね!」
わーわーとみんなが僕の周りに集まって、ぎゅうっと抱きついたり、こずいたりした。
“一週間分”を今、触っておくんだって。
そして放課後先生に許可を得て、貸し切りにした体育館でクラスのみんなとサッカーをすることにした。
「じゃあね、時雨くん」
「また来週!」
「てるてる坊主を、逆さにつるしておくね」
楽しかったサッカーもあっという間に終わり、僕はみんなに手を振って別れた。
あぁ、明日から寂しくなるなぁ。
雨、降らないかなぁ。
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