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君と会える日(3)

さっきまですごく楽しかったのに、今はもう憂鬱でならない。 みんなと、もう少しでいいから一緒にいたかった。 ……皐月くんともう少し、一緒にいたかった。 「寂しい……」 誰もいない道路で一人しゃがみ込む。 「……っ、」 どうして僕は雨でできているんだろう。 それでどうして、僕は消えちゃうんだろう。 「ふぇ、」 ぽたぽたと涙がこぼれ、雨と一緒に地面を濡らしていく。 「時雨っ」 こぼれ落ちる涙を気にすることなく泣いていると、突然後ろから名前を呼ばれ、ぴちゃぴちゃと水溜まりの上を走る音が聞こえてきた。 まさか──と思って振り返れば、息を切らした皐月くんがいた。  雨の中、走ったからだろう。ズボンには泥水が跳ね返っている。靴も、靴下もぐしょぐしょだ。 「時雨……」 僕とは違うから、雨に打たれたら風邪を引いてしまうのに。 皐月くんは傘を投げ捨てると、僕を思いっきり抱きしめた。 「皐月くん、風邪引くよ……」 「いい、別に風邪くらい」 “それよりお前をこうしてたい” 皐月くんの言葉に、僕の体温が一気に上がる。 こんなふうに、大好きな皐月くんに抱きしめてもらえるだなんて想像もしてなかったから、嬉しいけれど、それでもなんだか戸惑いが大きい。 「なぁ、時雨」 「うん……?」 「今日は俺ん家に泊まれよ」 「え……」 「お前が消えるまで一緒にいたい」 “家には俺ん家から連絡入れればいいから” 真剣な顔でそう言われ、僕は小さく頷いた。

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