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君と会える日(4)
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朝起きると、俺の願いもむなしく、嫌味なくらいに綺麗な青空が広がっていた。
隣で寝ていた時雨は、もう見えなくなっている。
昨日の夜、あんなにたくさん話したのに。
時雨を、ずっと一人占めしていたのに。
それでも、足りない。時雨の顔が見たい。
「……時雨?」
「皐月くん、ここにいるよ。……おはよう」
「おはよ」
名前を呼べば返事をしてくれて、声だって聞ける。けれど、触れられないのがもどかしい。時雨の温もりが、今すぐに欲しい。
「なぁ、時雨。……俺の手を握って」
「うん……」
無理だと分かっているのに、俺はばかだな。
差し出した手には当たり前だけれど、何の感触もない。
冷たさも温かさも。
「何も感じないな」
「う、ん」
「寂しい」
「僕も……」
時雨の顔が見えないから、表情なんて分からない。だけど、どうしてだろう。
何だか泣いてるような気がして、俺も泣きそうになった。
「時雨」
「ん?」
「俺ね、お前が好きだよ」
「え……、」
驚く声が聞こえる。でも、そこには相変わらず、何の感触もしない。
それでも俺は、そこに時雨の手があるかのように、ぎゅっと力を込めて握りしめた。
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