105 / 226

君と会える日(4)

***** 朝起きると、俺の願いもむなしく、嫌味なくらいに綺麗な青空が広がっていた。 隣で寝ていた時雨は、もう見えなくなっている。 昨日の夜、あんなにたくさん話したのに。 時雨を、ずっと一人占めしていたのに。 それでも、足りない。時雨の顔が見たい。 「……時雨?」 「皐月くん、ここにいるよ。……おはよう」 「おはよ」 名前を呼べば返事をしてくれて、声だって聞ける。けれど、触れられないのがもどかしい。時雨の温もりが、今すぐに欲しい。 「なぁ、時雨。……俺の手を握って」 「うん……」 無理だと分かっているのに、俺はばかだな。 差し出した手には当たり前だけれど、何の感触もない。 冷たさも温かさも。 「何も感じないな」 「う、ん」 「寂しい」 「僕も……」 時雨の顔が見えないから、表情なんて分からない。だけど、どうしてだろう。 何だか泣いてるような気がして、俺も泣きそうになった。 「時雨」 「ん?」 「俺ね、お前が好きだよ」 「え……、」 驚く声が聞こえる。でも、そこには相変わらず、何の感触もしない。 それでも俺は、そこに時雨の手があるかのように、ぎゅっと力を込めて握りしめた。

ともだちにシェアしよう!