114 / 226
君と会える日後日談(7)
「時雨が思ってる以上だよ」
「え……?」
「俺がお前のことを、考えない日なんて無いんだから」
今日はいつもにまして大雨だから、雨がたくさん降って、明日の分がなくなるかもしれない。
でも、それでもいいんだ。
もうすぐ梅雨の季節がやってくるから、そうしたらそのうち、毎日のように会えるようになるだろう。けれど梅雨が終われば、長い間会えなくなるだろう。
でもそれでもいいんだ。
会えなくてもそれぞれのことを思い合って、会えた時にはお互いに素直な気持ちを言い合って。
苦しくなったり、悲しくなったりして涙を流す日があっても、それが相手を大切に思うがゆえの涙ならいいんだ。
泣いた分、会えた時の喜びが大きくなるから。
そうしてお互いに、“好き”の気持ちを大切にすればいい。
「俺も、時雨を好きになって良かった」
おでこをこつんと合わせると、俺の目からも涙が溢れた。
“せっかく会えたのにね”
“仕方ないだろ”
“今日までにしよう”
“うん、今日まで”
“会えた日に泣いていいのは、今日が最後”
嬉しい気持ちやら何やらで、気持ちがぐちゃぐちゃになって。
最後と誓って流した涙の量は、いつになく多かった。
抱き合って、わんわん泣いて。
涙を拭く袖がびしょびしょに濡れてしまったから。
それを全部、この大雨のせいにした。
END
ともだちにシェアしよう!