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幸せのモヤモヤ(1)
優しくされると嬉しくなるし、笑いかけられると胸があったかくなる。
どこにいるのかと探して、いつの間にか目で追ったり、何でもいいから会話がしたくて声をかけたり。僕の生活は、彼を中心に回っているみたいだ。
このふわふわしてて、幸せな気持ちは何なんだろう。
彼のことを考えては、頭の中がパンクしそうになる。
僕は頭が悪いし、勉強も嫌いだから。
分からないことがあってモヤモヤすると、段々とイライラしてくるんだけど。
彼のことを考えていて何だか分からない気持ちを感じて悩んでも、そのことで感じるモヤモヤは、……どうしてかな、すごく心地いいんだ。
分からないのに心地いいだなんて、変なの。
「変なのー」
思わず、考えてたことが口に出てしまった。
立ち止まって、何の意味もなく彼のブレザーの袖を掴む。
僕の隣を歩いていた彼も、そんな僕の反応を見て足を止めた。
一歩分多く進んでいたから、僕に合わせて彼が一歩分下がる。
また隣に並ぶと、彼は僕の顔をのぞき込んだ。
「どうしたの?」
クスクスと、優しく笑う彼が眩しい。
……ほら、変なの。
これだけのことが、こんなにも幸せだなんて。
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