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強がりないちご(6)

「うわぁ、」 新しくできた書店は、想像以上に大きかった。いつも行っている書店はわりと小さめで品揃えも悪いから、こんなに大きい書店ができたのはありがたい。 思わず声が漏れた。 色んな本が充実しているし、人がたくさん。 なんだか見ているだけで楽しい気分になる。 「あ、新巻出てる!」 俺は、新巻コーナーにある漫画を一つ手に取った。お気に入りで連載を追っている漫画だけど、新巻出てたんだな。 どうせすぐには店に並ばないからって、あまりそういう情報をチェックしていないし知らなかった。 「おっ、これも出てんじゃん」 隣に視線を移せば、これまた集めている漫画が。アニメになったりとか騒がれている漫画じゃなくて、これを買うときは隣町の書店にまで行くのに。 これも揃えてるのか。 「はぁ~、どうしよう」 どっちを買おうか、なんて迷っていたらもう一つ見つけた。これは集めていないけど、ずっと欲しいと思っていたやつ。 ダメだ、多すぎる。 「これ、気になるんだよなぁ」 まだ三冊しか出ていない。これから集める? いや、でもやっぱり続きが気になるよな。 それなら、連載追ってる続き二冊と、この新しい漫画一冊試しで買うか? 財布とにらめっこをしながら、そんなことをぐるぐる考えていると、後ろから聞き覚えのある声がした。

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