129 / 226
強がりないちご(11)
「じゃあなんでそんな泣きそうな顔してんの?」
「してねぇ」
「してるよ。ほら涙出てきたし」
「……っ、」
森川だってほっといてくれればいいのに。
どうして俺に構うの?
無視されたのがムカついたから?
「うるせぇな、何でもないからほっとけよ」
「ほっとけない」
「何で」
俺なんかに、構わないで欲しい。
“ほっとけない”だなんて、そんな言葉言わないで。
俺ね、森川のことすげぇ好きなの。
その俺に、その言葉は残酷すぎる。
友だちとして心配してくれているのだろうけど、俺は望んでない。
「綾瀬だからほっとけない」
「な、んだよ、それ、」
あぁもうだから。森川は何がしたいんだ。やめてくれよ、頼むから、これ以上そんな言葉を口にしないで。優しさを、俺に向けないで。
「お前がいつも通りじゃないと調子狂う。いつもみたいにさ、ばかなお前が俺のことばかにしてくれないと、俺、全然楽しくねぇ」
「意味、分かんね」
「そんなふうに泣かれたりしたら、すぐにでも抱きしめたくなる。泣きやむまで抱きしめて、頭撫でてやりたくなる」
「やめろ、それ以上言うな」
何を言うつもりだ? これ以上、どうしたい?
そんなのまるで、俺に告白しているみたいじゃないか。
友だちに言うことじゃない。
ロード中
ロード中
ともだちにシェアしよう!