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強がりないちご(11)

「じゃあなんでそんな泣きそうな顔してんの?」 「してねぇ」 「してるよ。ほら涙出てきたし」 「……っ、」 森川だってほっといてくれればいいのに。 どうして俺に構うの? 無視されたのがムカついたから? 「うるせぇな、何でもないからほっとけよ」 「ほっとけない」 「何で」 俺なんかに、構わないで欲しい。 “ほっとけない”だなんて、そんな言葉言わないで。 俺ね、森川のことすげぇ好きなの。 その俺に、その言葉は残酷すぎる。 友だちとして心配してくれているのだろうけど、俺は望んでない。 「綾瀬だからほっとけない」 「な、んだよ、それ、」 あぁもうだから。森川は何がしたいんだ。やめてくれよ、頼むから、これ以上そんな言葉を口にしないで。優しさを、俺に向けないで。 「お前がいつも通りじゃないと調子狂う。いつもみたいにさ、ばかなお前が俺のことばかにしてくれないと、俺、全然楽しくねぇ」 「意味、分かんね」 「そんなふうに泣かれたりしたら、すぐにでも抱きしめたくなる。泣きやむまで抱きしめて、頭撫でてやりたくなる」 「やめろ、それ以上言うな」 何を言うつもりだ? これ以上、どうしたい? そんなのまるで、俺に告白しているみたいじゃないか。 友だちに言うことじゃない。
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