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強がりないちご(12)
「分かんない? これだけ言っても分からねぇの? やっぱりお前、すげぇばかだな」
「分かるわけ、ねぇだろ」
いい加減にしろって、俺は顔を上げた。
どんな顔をしてそんなことをって、そう思ったから。
でも、森川は今までにないくらいに真剣な顔をしていた。
「……好きだって、それしかないだろ、」
だから、どうして。
「森川、彼女いる、じゃん」
「は?」
「彼女いる、のに、お、俺に、そんなこと言うなよ、」
彼女とあんなに良い雰囲気だったじゃないか。優しく、笑ってただろ。
近くにいた俺には全く気付かないくらいに、楽しそうにしてた。
なのに、どうして。どうして“好き”だなんて、そんな言葉を俺に言うの。
「ばか、に、して、んの……?」
俺が森川のこと好きって、本当は知ってた?
だからこんなこと言うの?
からかうために?
分かんねぇ。もう何も。
森川にとって、俺はどんな存在なの。
「……っう、」
一気に涙腺が崩壊して、俺はその場に座り込んだ。俺の手首を掴んでいた森川も、一緒になってその場に座る。
「綾瀬、お前何を勘違いしてんのか分かんねぇけど。俺に彼女なんていねぇよ?」
「見たっ、昨日、一緒にいるの、見たんだ、」
「はぁ? 昨日?……、あー……」
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