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俺を愛して(5)

自分が聞いたくせに、隼人は俺が答える前にキスで口を塞いだ。 抵抗しても無理矢理口を開けられ、隼人の舌が好き勝手に遊び回る。 「やめ、ろ……っ」 胸板を押して抵抗するも、力は隼人のほうが倍くらいあるから、敵うはずもない。 だけど、嫌なんだ。 さっきまで誰かにキスしてたその口で俺にキスをして。 さっきまで誰かに触れてたその手で俺に触れて。 さっきまで誰かと寝ていたこのベッドで、その匂いを残したまま俺を押し倒して。 ただ純粋に、好きなだけじゃダメなの? 俺の気持ちが隼人に届くことはない? 「人の、ベッド、使いやがって……!」 「あ?」 「ラブホ、代わりに、して、欲しくて、鍵を渡したんじゃ、ない!」 会いに来てくれると思ったんだよ。 俺からは言えないから、隼人が暇な時にでも来てくれたらいいなぁって。 他の人に触れているところを見たくて、鍵を渡したわけじゃない。 「今度、誰か連れて来たら、金……取ってやる……!」 心が悲鳴を上げた。思ってもない言葉が口から出てしまう。 お金……? そんなのいらない。いらないよ。 俺は、隼人が欲しいだけだもの。 「分かった」 「え……?」 「金を払えば使っていいんだな?」 「……っ」

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