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俺を愛して(6)
「お前の家は何かと便利なところにあるし。今日から? 今日から払ったほうがいいか? 値段は? 五千? 一万? もっと?」
「……もうやめて、」
信じられない。俺が、傷ついてるって分からない?
「最悪、」
それともわざと?
「隼人、ひどいよ……」
そんなに俺が嫌いなの?
俺の気持ちを知っていて、ここまで言えるって。ある意味すごい人間だよ、隼人……。
もういい。
もう、いらない。隼人なんか、いらない。
「鍵、返して」
「はぁ? 今いいっつっただろ」
「返して……! もう、嫌だ……」
「あ?」
おかしくなりそうだ。どうして分かってくれないの。どうして、どうして俺を恋人にしたの。
「隼人のこと、好きっだって言ったじゃん! それなのに、知ってて毎回、こんなこと……っ、」
告白も、簡単なものじゃなかったんだよ。
好きだと伝えることが、どれだけ大変なことか隼人には分からない?
「鍵、欲しいって言われて、嬉しかったのに……」
隼人の言葉や態度にドキドキしたり傷つけられたり、散々振り回されて、俺にこれ以上どうしろって言うの。
「俺、いっぱい我慢したよ。迷惑になりたくなくて、気持ち、いっぱい、押し殺して。……いつか、隼人が俺を見てくれたらって、一生叶わない願いを持ってさ、」
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