140 / 226
俺を愛して(7)
いっそのこと別れようって言ってくれれば良かったのに。いつまでも恋人という枠に閉じこめおかないで、もういらないって捨ててくれれば、俺だって少しの期待を胸に苦しむこともなかったんだ。
「せめて、俺といる時、くらいは……、優しく、して欲しいって……ずっと思ってた!」
俺は、近くにあった枕を手に取ると隼人の顔に投げ付けた。跳ね返って落ちたその枕をもう一度掴み、もっと近い距離から隼人にぶつける。
「俺のこと、見てよ……。ちょっとくらい、気持ち、返して……」
叩いても叩いても気が済まない。涙で視界が滲んでいるせいで隼人の顔は見られないけれど、ずっと黙ってそこから動かないでいる。
そのうち、枕を掴む握力がなくなってきて、俺は力の入らないその手で隼人の顔を直接殴った。けれど、すぐにそれもできなくなってしまった。ただでさえ心がぐちゃぐちゃなのに、泣いて叫んで、もう力は残っていない。
俺は、振り上げた手をだらりと下ろし、静かに目を閉じた。
俺なんかが隼人にこんなことをしたんだ。怒った隼人が仕返しをするか、別れ話をされるかだろう。
でも最後に言いたいことが言えて良かった……。
そう思ったのに。
隼人は、殴るわけでも別れ話しをするわけでもなく、優しく俺を抱きしめた。
驚いて目を開くと、ぽろりと涙がこぼれて、隼人の服に染みを作る。
「やっと本音が聞けた」
「え……」
ともだちにシェアしよう!