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見てるよ。(7)
関係は変わらない。それは僕が、動かないからだ。終わってしまったのが悲しいのなら、僕自身が頑張ればいい。
また、そうなるように努力してみればいい。
うまくいかなくても、やってみるしかない。
欲しいものがあるのなら、待っているだけじゃあダメだ。
彼への想いを閉じこめ続けたらどうなるのか。そんなもの、閉じこめて終わるだけだ。
「……でも、できない」
机にうつ伏せになって、ぼそりと呟いた。自分の中に、突き動かしてくれる何かはあるけれど、そう簡単に行動に移せるわけじゃない。そんなことができるのなら、とっくにやっている。挨拶くらいで困ったりはしない。
僕には無理だ。
目で追うだけで精一杯だもの。
好きなのに、何もできない。やる前からその先にあるものを考えて一人落ち込んで。怖くてここから進めない。
笹野くん。
笹野くん、好き。
好きなの。
「はぁ……、」
いっそのこと、いつも通りが良かった。さっきの特別な時間なんていらなかったのかもしれない。そうしたらこうして悩むこともなかったんだ。もっと好きになることもなかった。
「……っ、」
頭の中がぐちゃぐちゃだ。僕はこれからどうしたらいいんだろう。
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