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見てるよ。(15)

笹野くんの目を見ることができない。今は、恥ずかしさも嬉しさも消えて、後悔しか残っていない。 太股の上で、手をぎゅっと握りしめた。 「本当は足くじいてないよ。二人きりになりたかったの」  ぼそぼそと、彼に聞こえたか聞こえてないか分からないくらいの声でそう呟いた。 せっかく笑ってくれたのに、嘘付いて彼を裏切ってしまったから。 今まで挨拶もまともにできなかったし、彼と仲良くなるために何か行動に移したこともなかったのに、初めてがこれだなんて。 僕は本当にバカなことをしてしまった。 大声を出して泣きたいのを我慢しながら笹野くんの言葉を待つと、彼はくすくすと笑い始めた。 何もおかしいことはないのに、どうして。 「そんなこと最初から分かってた」 「……え?」 「原田のこと、見てるって言っただろう?お前が嘘をついてるってことくらい、すぐに分かるよ」 顔を上げて笹野くんを見ると、やっぱり優しく笑っていた。 そんな彼を見て、ぼろぼろと涙があふれ出る。 「意地悪してごめんな」 「……っ、あ、」 「原田のことを見てる俺を、ちゃんと見て欲しかった」 「ひぅ、」 「俺はずっと、お前と同じように見てたよ」

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