177 / 226
今、君に。(1-2)
何が普通で、何が異常かは、実際のところ決められてるわけじゃない。
ただみんながそうだからって理由で、それが何となく普通になって。
そしてそこから外れることを、周りはひどく恐れるんだ。
付き合う対象が異性じゃなきゃいけないって、そんな決まりもないのに。
好きだから一緒になりたいと、そう想う気持ちは他の誰とも変わりはないのに。
この気持ちは俺のもので、大切にしていいはずなのに。
それなのに、どうして、気持ちを受け入れてもらえないのか。
一体何の罰なの?
俺たちは純粋に想い合っているだけで、誰にも迷惑はかけていない。
好き合うのは、そんなにも罪なこと?
俺たちが何をしたの。
何をすればみんなの言う、大好きな普通になるの?
気持ちを、殺せば良かった?
そうしたら満足する?
何を、どうすれば良かったの。
好きな人と笑い合って、楽しく過ごしたいと願っただけじゃないか。
何が、だから、どうして。
俺にはもう、何も分からないよ。
「あ、つしっ、あつ、し……」
「しゅん……」
「……ぅ、あ」
「ごめんな……」
思わず伸ばしたかけた手は、春に触れることはなくて。
俺は、そのまま春に背を向けた。
“守れなくてごめんな”
それでも……。
ともだちにシェアしよう!