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ミサンガ続編(5)
暴言も暴力も、それは俺の照れ隠しの癖で。
小さい頃からずっとそうやって気持ちを隠してきたのに、それをどうして今さら。
付き合って半年で、それまでと大きく変わることなんてできない。
雅宏だって、そういう面倒なところも含めて好きになってくれたんじゃねぇの?
キスも、好きを伝えるのも、俺はまだいっぱいいっぱいで、自分からやれる余裕なんてない。告白できないから、あの時だってミサンガを付けてたんだろ。
もう少し待ってくれたっていいじゃないか。どうして別れ話の前になってそんなことを突然言い出すの?
面倒な性格をしてるのは、自分がよく分かってる。可愛くないのも素直じゃないのも、そうなりたいのにできない自分が、一番よく分かってるよ。俺だって何も考えないわけじゃない。だから今日思い切って、こうして雅宏の部屋に来たんじゃないか。
普段言わない言葉を、言いたくても言えなかった言葉を、やっと今日は伝えようって。
ミサンガにもたくさん思いを込めたのに。
顔が見られなくなって俯いたその目に、涙が溜まる。
早く、早く部屋に戻らなきゃ。
涙がこぼれ落ちそうだ。
俺はミサンガを握りしめ、「……幼なじみに、戻ろう」と、それだけを伝えた。
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