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ミサンガ続編(6)
「うぁ、ふ、ぅ……っ」
部屋に戻った瞬間、我慢していた涙が一気に溢れだした。
結局、俺ばっかりが好きだったってことなのかな。
俺は悲しくて、悔しくて、複雑な感情に苛立ち、握りしめていたミサンガを投げようと手を上げた。
でも、できなかった。気持ちを込めて、一生懸命作ったんだから。
雅宏に少しでも喜んでもらいたいって、文字入りのミサンガにした。
器用じゃない俺は分からないことだらけで。
恥ずかしさを押さえつけ、わざわざ女子に作り方を教えてもらったんだ。
それなのにどうして、今日別れようだなんて言うの?
ちょうど半年の記念日に。雅宏に「俺もお前が好き」って言われてから、俺の中で一番特別で大切になったこの日に。
あぁ、明日からどんな顔をして会えばいい?
雅宏とは違う。今さら幼なじみになんて戻れない。幼なじみの方が良かったなんて、そんなことは思えないんだよ。
付き合う前のあの頃とは比べものにならないくらい好きの気持ちが大きくなったんだ。
俺を好きじゃなくなった雅宏と一緒にいたら、俺はきっとダメになる。
「まさ……ひ、ろ……っ」
好きだって、別れたくないって言ったら、雅宏は頷いてくれた?
だけどあんなこと言われてしまったら、今まで以上に何も言えないよ。
雅宏に嫌われることが、何よりも怖いのに。
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