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ミサンガ続編(8)
「雅くん……?」
玄関のドアを開けてくれたのは、祥汰の母さんだった。何も考えずにチャイムを鳴らしたけど、いてくれて良かった。じゃなきゃ、祥汰は絶対に開けてくれないから。
「早苗さん、ちょっと上げてもらっていい?」
「へ?」
俺の言葉に、早苗さんが変な声を出した。
そりゃあそうだ。小さい頃からずっと今まで、俺がこの玄関を使ってこの家に上がったことなんてほぼ無いからな。いつも勝手に窓から出入りしているし、びっくりするのも当たり前だろう。
珍しく玄関から上がるの? とでも言いたそうな顔で、早苗さんが俺を見つめる。
でも祥汰はきっと窓の鍵を閉めてるから、今日はこっちからじゃなきゃ入れない。
「もしかして、祥汰と喧嘩したの?」
「あー、うん、そんな感じ」
「喧嘩しても、それでもいつも窓から入ってるのに? 今日はどうしてこっちからなの? 鍵閉められるほどに大きな喧嘩をしたの? ……ねぇ、雅くん。祥汰のこと、泣かしてんじゃないでしょうね?」
「……だからこうして謝りに来たんじゃねぇか。早苗さん退いて!」
忘れていた。早苗さん、祥汰のことになるとかなりうるさいんだった。
「あんたねぇ! 祥汰泣かしたら愛美にチクってやるんだから!」
「は? まじあのババアに言うのだけはやめて!」
というか本当に、こんなやり取りをしてる暇はない。だいたいここは、俺ん家も同然なんだ。
いちいち早苗さんに許可取る必要なんてなかった。
俺はうるさい早苗さんを押し退けて、二階にある祥汰の部屋へと走った。
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