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ミサンガ続編(9)
「祥汰!」
「……っ」
鍵がついてない部屋で良かったと思う。
ここは何の苦労もなく、ドアを開けて部屋に入ることができた。
だけど、視界に入って来たのは、布団にくるまったまま顔を少しだけ覗かせている祥汰。
見れば、目が真っ赤に腫れている。
もしかして……、いや、もしかしなくても、あれから今までずっと泣いてた……?
「祥汰、」
あぁ、俺はばかなことをした。
素直に好きも言えないんだ。
俺には、ありがとうのその一言さえも、照れてまともに言えない。
自分の感情をうまく言えないコイツが、俺に泣いてすがりつくはずはなかったんだ。
つらいことがあっても、涙を見せないようにして。傷ついても一人きりで泣く奴だった。
小さい頃からずっとそう。
一人で抱えて、溜め込んで。
ばかだな、俺は。
本当に……、ばかだった。
「祥汰……」
「離せ……っ、やめろ……!」
俺は、布団を無理矢理引き剥がし、怯えたように見る祥汰をそのまま抱きしめた。
だけど祥汰が大人しく抱かれるはずもなく、俺の腕から逃れようと暴れだす。
俺は力を込めて手首を握り、壁に押さえ付けた。
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