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ミサンガ続編(10)
「やめ……っ」
「祥汰!」
「いやだ、や……」
「祥汰!」
そこまでしても、祥汰は抵抗をやめない。
ひどく顔を歪め、目からは大粒の涙が溢れている。
こうやって取り乱すのを望んでいたのに、いざそれを見ると心が痛む。
でも祥汰はそれ以上に傷付いてるはずだ。
俺は手で祥汰の顎を掴み、ガンッと壁に押さえ付け、強引に唇を奪った。
壁に頭をぶつけられた痛みからか、俺のキスのせいか。
暴れていた祥汰が大人しくなった。
「ひ、ぅ……」
相変わらず涙は止まらずに、少しだけ過呼吸気味になっている。
押さえつけていた祥汰の右手を解放し、今度はその手で抱きしめてやろうとすると、力の抜けた祥汰の手から、するりと何かがベッドに落ちた。
ミサンガ……?
2つ?
「祥汰、これって、」
「あぁあっ、やめ……、嫌だ、いや……」
落ちたミサンガを拾いあげ、祥汰に見せれば、それまで以上にくしゃりと顔を歪めて泣きだした。
MとS?
俺と祥汰ってこと……?
「……っ、」
じゃああの時、俺の部屋に来たのはこれを渡すためだったのか。俺に、お揃いのミサンガをあげるつもりで?
それなのに俺は、そんなお前に嘘の別れ話をしてしまったんだな。
「祥汰、」
「ふ、ぅ……っ」
「祥汰……」
ごめんな。
とんでもなく酷いをことをした。
小さい頃から一緒だったのに、お前のことちゃんと分かってやれてなかった。
俺は祥汰を自分のほうに優しく引き寄せ、ぎゅっと力強く抱きしめた。
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