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ミサンガ続編(12)
◆雅宏side◆
じわりと、俺の服に祥汰の涙が染みていく。
さっきまで抵抗してたのに、大人しくなった祥汰は、必死に声を押し殺している。
立てられた爪のせいで背中は痛いけど、でも、俺は離す気はないからそれに構わず抱きしめた。
そのうち、祥汰の指先の力も抜けて、俺の服を遠慮がちに掴んだ。
「す、き……」
「うん、」
「雅ひ、ろ……が、好き……」
「うん……」
震える声で、ゆっくりと。
それが愛しくて、申し訳なくて。
あぁ、俺はこんなにも想われてたんだ。
「もっかい、す……きに、なって……」
「うん……」
染みていく涙が温かい。
全身で祥汰の想いを感じて、言葉は大切だけれど、それが全てじゃないと改めて感じた。
無理矢理聞くべきものでもない。
「祥汰、ごめんな」
「……う、っ、」
「俺、お前のこと、すっごい好き。疲れたとか、全部嘘。そんなこと、全然思ってないよ」
「……っ、」
「俺のことを好きだって、言葉にして欲しくて。今日がエイプリルフールなのをいいことに、酷いことしてしまった」
本当にごめん、ともう一度謝ると、服を掴む手に力が込められた。
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