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ねぇ、こっち向いてよ。(2)
藍はきっと、好意に弱いから。俺がこうして何度も好きだと伝えれば、意識して、悩んで、藍の頭の中は俺でいっぱいになるだろう。
そうやって俺のことしか考えられないようにしたい。そして藍が俺を選んでくれたのならその時は、グズグズのドロドロに甘やかしてやるんだ。
ねぇ、藍ちゃん。
早く俺のところに落ちてきて。
「らーんちゃん」
俺は、藍に噛まれた指をぺろりと舐めた。
間接キスしちゃった。そう言って微笑めば、さっきよりも俺を睨む目つきが鋭くなる。
それでも、迫力は全然ないのだけれど。
「間接キスじゃなくてさ。俺は藍ちゃんのその唇にキスしたいよ」
「は?」
驚いたのか、藍は細めていた目を大きく見開いて俺を見た。けれどすぐに視線を逸らし、困ったような顔をする。
「藍の唇、柔らかいから。この指じゃなくて、俺の唇で触れたい。ねぇ、藍ちゃん。キスさせて? 気持ちよくしてあげるから」
「嫌だ」
「どうして?」
「……どうしても、」
「舐めるのは?」
「……っ、させるわけ、ないだろ」
「藍のケチ」
ねぇ、藍。俺にキスしたいって言われて、嫌な顔はしないんだね。最初の頃なら、気持ち悪いことを言うなって、冷めた目で俺を見ただろうに。
今じゃ眉を垂らして、泣きそうな顔をして、……本当に可愛いんだから。
どこまで落ちてる? もうすぐ、俺の手の中? 後少しのところで君を引き留めているものは何?
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