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ねぇ、こっち向いてよ。(4)
「やまとぉ~、藍なんかに構ってないでさ、あたしたちに構ってよぉ」
教室の隅でイチャイチャしている俺たちを見つけた女子が、甘ったるい声で誘ってきた。
一年から同じクラスで、二年に上がって藍の存在を知るまでは、コイツらとよく遊んでいた。
自ら乗っかって腰を振ってくれるから性欲処理に最高だったし、何より俺が女の子大好き人間だったから。
あの柔らかい胸と白い肌がたまんないってさぁ。
だけどね、今は藍に夢中なの。
小顔で目がぱっちりしていて、まるで女の子みたいだと興味を持ったのが始まりだったけれど。
ある日、滅多に笑わない藍が本を読みながら幸せそうに微笑んだのを見て、いつか俺があの笑顔にさせたいと、そんなことを願うようになってしまった。
藍は俺の大好きな女の子じゃないけれど、そんなことはどうでもいい。藍だけは特別だから。
「ごめんね、藍しか見えてないの」
俺から目を逸らしている藍の髪に、指を絡めながら女子たちにそう言うと、「じゃあさ、藍に飽きたら遊んでよ」と言って笑った。
「んー、飽きたらね、」
飽きるわけないだろ、と心の中ではそんなことを思いながら適当に作った笑顔を返した時、ぴくり、と藍の肩が動いた。
藍ちゃん、君は本当に可愛いね。
「絶対に飽きないから、心配しないで」
髪の間から少しだけ見えている藍の耳に口を近付け小さくそう囁いて、わざとリップ音を鳴らしてキスをした。
一瞬で赤く染まる藍の耳。
それを見て、俺の心も満たされる。
ねぇ、藍ちゃん。
早く俺を好きになってよ。
俺は、君のその真っ赤な耳さえも愛しくてたまらないと、言いかけておかしくなって笑った。
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