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ねぇ、こっち向いてよ。(14)

***** 大和が女の子と楽しそうに話しているのを横目に見ながら、俺は一人、食べたいパンをひたすらトレイに乗せた。 女の子に話しかけられている大和が気に入らなくて、ムキになっていたせいだと思う。 さっき五個に絞ったのに、決めていたパンとは違うものもトレイに乗せてしまっていた。 大和が話し終わってから、二人でレジに並んだ。ちらりと後ろを振り返れば、女の子がつまらなさそうな顔をしている。 大和が何を言ったのかは分からないけど、これで良いのか不安になった。 とても可愛い女の子だったから。俺といるより、その子といた方が楽しいんじゃないかって。 何だかそれが気になってしまい、大和にこれで良かったのか聞いてみたけれど、返事を聞くのが怖くて、結局その質問はなかったことにしてしまった。 パンを買うと、それから少し先にある公園に向かった。日陰になっていて、なおかつ周りに人がいないベンチを探して、そこに二人で座る。 だけど、俺が勝手に何となく気まずさを感じてしまい、そんな俺の気持ちを知ってか、大和もあまり言葉を発さない。 仕方がないからとりあえずパンを食べようと、無言で袋を開けてた時、大和に「さっきはごめんね」と謝られた。 「何で謝るの?」 「何でって、一人にしたし、……待たせたし」 「言うほど待ってないんだから、別に気にしなくていいのに」 「うん、でも一応ね、」 大和が俺を気遣ってくれたのに、俺は可愛げのない返事しかできなくて。 大和はそんな俺を見て、困ったような顔で笑うから。何だかそれに、俺の胸がキリリと鳴った。

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