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第9話
男が入ると、部屋の中を無遠慮に眺めまわした。
「大分、変えたんだな。」
そう言って、パチンと指を鳴らす。
ブランの寝かされているベッドの隣に、それと同じようなベッドが現れるとポンと投げ捨てるようにリュークを置いた。
「おい!」
男が声をかけると、老執事はささっとリュークのベッド周りを片付ける。
その間に、男はブランの寝ているベッドに近付くとその顔をじっくりと眺めてから、ため息をついた。
「まさかこんな形で戻ってくるとはな。」
そう言うとブランの頬を優しく撫でてから、リュークのそばにいる老執事に声をかける。
「おい、そいつの首にかかってる珠をよこせ。」
「閣下、私はリューク様にも仕える身。さすがにそれはできかねます。どうかお許しを。」
そう言って、老執事が深々と頭を下げる。
「あぁ、それもそうだな。すまん。」
そう言って、男はリュークのそばに近付くと、その首にかかっている珠を取ろうとした。しかし、手が触れようとした時、バチッと電流が走った。
「っつぅ!」
「閣下、大丈夫ですか?」
そう言って老執事が駆け寄りその指を口中に含んだ。
それを男はニヤッとしながら少し奥に指を突っ込む。
老執事は少し眉間にシワを寄せながらも、やめようとはしない。
「私の指はそんなにうまいか?」
老執事がうなずくのを見て、男がゲラゲラと笑い出す。
そしてその額に手をやるとグッと力を入れ顔を上に向けさせた。
老執事の喉がゴクリと鳴り、喉仏がそれに合わせて動く。
それをじっと見ていた男が老執事の首を掴むと、喉仏に舌を這わせた。
「んぅ、ん。」
老執事がたまらず甘い声を出す。
「おい、我慢がきかなすぎだろう。」
そう苦笑しながら言うと、老執事の口の中から指をぐいっと引き抜いた。
「あぁ…」
それを名残惜しそうに見る老執事の口から垂れた唾液を男は舌でなめとると、そのまま老執事の口の中に舌を入れ舐り出した。
それを待っていたかのように、老執事も自分の舌を絡ませてくる。
2人の絡み合う音と息遣いだけが部屋に充満していく。
「閣下…こんなのでは嫌です。戻して、ください。」
潤んだ目で見つめる老執事の顔を男がそおっと両手ではさむと、
「もう少し、待て。」
そう言って、男は老執事をぐっと腕の中に抱き寄せた。
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