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第21話

「このまま…。」 リュークが重い口を開きました。 「このまま?」 ブランが不思議そうな顔で、リュークの言葉を返します。 「このまま、あなたを再び肉体と精神に分け、眠らせてしまったら?」 あまりに滑稽なリュークの話にブランは苦笑すると、無理ですよと優しく答えました。 「私の体から出たがっているこの魔力達は、もしもあなたと交わらなくても、私を突き破って出ていきます。それはたとえ私に意識がなくとも関係はありません。出る準備はできているんです。ただ、その時は魔力の暴走となり、それらがどうなるのか私にも分かりません。 そしてもう長い時間、私にはこれらを制御する力も残っていません…本当にこんな事に巻き込んでしまった私を許して下さい、リューク。」 そう言って悲しげに微笑むブランに、リュークは子供のように首を振ります。 「いやです!何か、きっと何か手立てがあるはずです。愛したらあなたを殺すなんてそんな不幸、酷すぎます!」 そう言って、ブランの胸に顔を埋めました。ブランは胸に広がる暖かさを感じながら、リュークの頭を優しく撫でます。 「ねえ、リューク。 あなたには辛い話かもしれませんが、実のところ私は今とても幸せなのですよ。」 ブランの言葉を聞いたリュークが頭を上げると、 「何を、言っているんですか?」 わからないと言うようにブランの顔を見つめます。 「だって、この世で一番愛しているリューク、あなたに抱かれ、愛されて、心も体も幸せの絶頂の中でこの世から消え去る。素晴らしいじゃないですか?」 そう言って微笑むブランにリュークは一瞬それを受け入れそうになりながらも、直ぐに頭を振ってブランに反論します。 「あなたはそれでいいかもしれない。 しかし、たとえあなたが幸せだと言っても、あなたを殺した罪に変わりはありません。それを背負って生き続けなければいけない私はどうすればいいのですか⁈」 それを聞いたブランは悲しさと寂しさの相まった表情になると、静かな声で答えました。 「リューク、あなたがこれについて罪を感じる事はありません。 そしてどうか、新しい愛を探して下さい。」 「ブラン!それは無理だと分かっていて、そんなひどい事を仰るんですか?」 リュークの悲痛な叫びが響き渡る部屋に、カーテンの隙間から月の光が差し込んでいました。

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