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第5話

 微睡む夢を見ただろうか。  だとしても覚えていない。  朱島が目を開けると、タイチの気配がしなかった。起き上がると、身体は清拭されており、サイドボードにハーブティーのソーサーが置いてあった。まだ湯気が立っている。その横に、メモがあるのを目にした朱島は、一瞬で頭が真っ白になった。 「さようなら」  見覚えのない筆跡で、それだけ。 (あ) 「そう……そうか」  メモには、理由も動機も、何もない。ただ五文字に込められたタイチの気配が、どんどん薄くなっていくようだった。朱島は、そのままベッドに倒れ込むと、溜め息をついた。

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