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第4話
「綾人~、何やってんの?」
「ひぃっ」
神経を集中させて結び目を引いた丁度その時、コン、コン、とゆっくりドアがノックされ、同時に智の低い声がすぐ外から聞こえて来たから、驚きの余り悲鳴に近い上擦った声を上げてしまった。
「あーけーて」
「ちょっ……まって」
「すぐ開けないなら蹴り破るけど?」
「分かった、すぐ開けるから……」
智なら本当にやりかねないと思った綾人は、慌ててシャツの釦を締め、体裁を整えてから目の前のドアをそっと開いた。
「どれだけ待たせる気だよ。もしかして、無駄な抵抗ってやつ?」
「そんなんじゃない。ただ、腹の調子が……」
「へえ、腹の調子が悪いと、ココまで勃ったりしちゃうんだ」
「いぃっ!」
ズボンの上から股間を掴まれ激しい痛みに竦み上がった。
「一人で何してたんだよ」
「な、何もっ」
ギリギリ力を込められ、痛みに膝が立たなくなった綾人がよろけて便器に腰を下ろすと、後ろ手にドアを閉めた智が覆いかぶさる格好になる。
「ホモの綾人は何もしないのに勃起させる変態なんだ」
「やっ、止めろよ!」
やわやわ股間を揉みこまれ、堪らず智の手首を掴むと端正な顔が近付いてきて、耳朶をベロリと舐められた。
「っ!!」
「なあ、綾人は俺で抜いたりしてんの?」
「してなっ……」
「嘘だね」
断言されて耳の辺りがカッと熱くなってしまう。
どうして一度好きになると、中々嫌いになれないのか?
想いを知られたあの夜から……意地悪ばかりされているのに、それでも夜な夜な智の姿を妄想しては自慰をしていた。
「ほら、ここは正直だ」
「やっ……あっ」
貧相としか言いようのない非力な自分の抵抗なんて、学生時代バスケで慣らしたスポーツマンの智にとっては虫でも止まった程度だろう。
更に股間を揉みしだかれて、遂には吐息が漏れ出した。
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