6 / 19
第6話
***
「あぁっ……も、やめっ」
どれ位経っただろう。
実際には短い時間なのかもしれないが、攻め苦に耐える綾人にとっては酷く長く感じられた。
「んっ、はぁっ……」
左の乳首をチュクチュク吸われ、右も智の指に弾かれたり捏ねられたり……時にはまるで絞るように根元から強く引っ張られる。
こんな風に触れられるなんて想像すらしていなかったから、最初は激しく抵抗したが、慣れぬ快楽を注がれる内に虚ろになった綾人の心に、羞恥の他の感情が……ジワリジワリと芽吹いてきた。
――智が、俺の……。
好きな相手が自分の小さな乳首にしゃぶりついている。
とてもおかしな光景だが、例え気まぐれや綾人の事を貶めようとしての行為でも、喜びに似た感情が胸の奥から滲み出た。
「やっ……あぁっん」
どうせ希望なんてない。
こんな姿まで見せてしまえば、智は更に気持ちが悪いと嘲ってくるに違いない。
乳首を糸で括った挙句、触れられて嬌声まで上げ悦がっている男なんて、誰の目から見たって只の変態だ。
「綾人、気持ちイイ?」
「あっ……イイっ、もっと」
どうせ烙印を押されるならば、快楽にもっと従順になって今の時間を愉しみたい……半ば投げやりな気持ちになった綾人は自ら乳首を突き出すと、拙いながらも掠れた声で智にそこへの愛撫をねだる。
「素直な奴は好きだよ」
「ひゃっ……はうぅ!」
乳首にガリっと歯を立てられ、同時にペニスを布の上から掴まれて……射精しそうな快楽の波に綾人は身体を震わせた。
「イきたい?」
「……きたっ、イかせっ……」
心なしか智の声が上擦っている気がするが、考えている余裕は無いから綾人は腰を擦り付けながら、懸命に懇願する。
「じゃあ、なんでこんな事したか言えたら……考えてやるよ」
「あぅっ!」
爪で器用に乳首の糸を引っ掻かれ……綾人は喘いでのたうつけれど、感じているのは決して痛みだけでは無い。
「うわ、血が滲んでる。早く言わないと、乳首……取れるかもな」
「やっ、止め……ろ」
乳首が取れてしまうなんて、そうそう起こる筈もないが、そんな見え透いた脅迫にさえ綾人は身体を震わせる。
ともだちにシェアしよう!