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第6話

*** 「あぁっ……も、やめっ」  どれ位経っただろう。  実際には短い時間なのかもしれないが、攻め苦に耐える綾人にとっては酷く長く感じられた。 「んっ、はぁっ……」  左の乳首をチュクチュク吸われ、右も智の指に弾かれたり捏ねられたり……時にはまるで絞るように根元から強く引っ張られる。  こんな風に触れられるなんて想像すらしていなかったから、最初は激しく抵抗したが、慣れぬ快楽を注がれる内に虚ろになった綾人の心に、羞恥の他の感情が……ジワリジワリと芽吹いてきた。  ――智が、俺の……。  好きな相手が自分の小さな乳首にしゃぶりついている。  とてもおかしな光景だが、例え気まぐれや綾人の事を貶めようとしての行為でも、喜びに似た感情が胸の奥から滲み出た。 「やっ……あぁっん」  どうせ希望なんてない。  こんな姿まで見せてしまえば、智は更に気持ちが悪いと嘲ってくるに違いない。  乳首を糸で括った挙句、触れられて嬌声まで上げ悦がっている男なんて、誰の目から見たって只の変態だ。 「綾人、気持ちイイ?」 「あっ……イイっ、もっと」  どうせ烙印を押されるならば、快楽にもっと従順になって今の時間を愉しみたい……半ば投げやりな気持ちになった綾人は自ら乳首を突き出すと、拙いながらも掠れた声で智にそこへの愛撫をねだる。 「素直な奴は好きだよ」 「ひゃっ……はうぅ!」  乳首にガリっと歯を立てられ、同時にペニスを布の上から掴まれて……射精しそうな快楽の波に綾人は身体を震わせた。 「イきたい?」 「……きたっ、イかせっ……」  心なしか智の声が上擦っている気がするが、考えている余裕は無いから綾人は腰を擦り付けながら、懸命に懇願する。 「じゃあ、なんでこんな事したか言えたら……考えてやるよ」 「あぅっ!」  爪で器用に乳首の糸を引っ掻かれ……綾人は喘いでのたうつけれど、感じているのは決して痛みだけでは無い。 「うわ、血が滲んでる。早く言わないと、乳首……取れるかもな」 「やっ、止め……ろ」  乳首が取れてしまうなんて、そうそう起こる筈もないが、そんな見え透いた脅迫にさえ綾人は身体を震わせる。

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