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第8話

「あッ、ひッ……あぁっ!」 「気持ちイイだろ?」  大きく瞳を見開いたままビクビク跳ねる綾人の姿に、煽られた智は欲情に身を任せ……開きっぱなしの薄い唇に噛みつくようなキスを仕掛ける。 「ん、んぐぅーー!」  ローターを持ってない方の指で左の乳首をコリコリ揉むと、堪らないと言ったように何度も身体が痙攣し……座る便座が軋むようにガタガタという音を立てた。   *** 「乳首でイクとかホント変態だよな」  想像通り冷酷な声が頭の上から振って来て、射精の余韻で放心していた綾人は羞恥に身体を染めた。 「……ごめん」  長い睫毛を伏せた綾人は小さく謝罪の言葉を口にする。  この状況なら通常智が加害者だと言われる筈だが、そんな事まで考えられずに綾人は自分自身を呪った。 「あーあ、また陥没しちゃった。綾人の乳首は強情だな」 「ひゃっ、やめっ」 「ズボンの中グチョグチョにしといて、何が『やめて』だよ。淫乱」 「うっ……」  酷い言葉を投げ掛けられて、綾人は新たな涙を流す。  心の中はもう限界で、ここまで幻滅させてしまっては、今後顔すらまともに見る事は困難なように思われた。 「とりあえず、家に寄れ。着替え貸してやるから」 「いや、いい……帰る」  そして少しでも早く頭を冷やしたい。  皆が帰宅した後とはいえ、社内でこんなに乱れてしまった自分に自分で嫌気がさし、あんなに必死に糸を巻いたのに綺麗に陥没している乳首が恨めしくて仕方なかった。 「寄らないなら裸に剥いて、此処に縛りつけて帰るぞ」 「そんなっ」  両手はまだ背後で一つに戒められたままだから、智の言葉に従わなければ彼ならきっと言った通りにするだろう。  これ以上……貶められたらきっともう立ち直れない。  今でさえ、立ち直れるか分からない。 「……分かったよ」  顔を見ると事も出来ないままに綾人が小さく返事をすると、クスリと喉で笑った智が陥没している小さな乳首に軽く指で触れて来た。 「んぅっ」 「ココ、今度は俺に結ばせて。糸よりマシな素材探してくるから」 「え?」  その言葉に……綾人が驚き彼を見上げると、チュッと額にキスが降りてきて、本当に意味が分からなくなる。  ――そういえば、キス……なんで?  大分虚ろになってはいたが、唇や舌に色濃くその感触は残っていた。だけど、頭が全く回らない。 「あっ……あ」  確かめるように唇を舌でチロリと舐める姿を見て、更に口角を上げた智は、健気で分かりやすい同僚を連れ帰った後どう料理するか考えてながら、艶を帯び……朱色の染まった目許に軽くキスをする。 「え? あっ……なん……」  そして、答えを聞くのが怖いのだろう。『何で?』と聞けない綾人が言葉を飲み込み震える姿を見て、クスリと含み笑いを漏らし、更に唇で口を塞ぐと、驚いたのかビクビク跳ねる身体を強く抱きしめた。 おわり

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